子ども・子育て新システム反対

 政府が2013年度から導入を目指し、今国会で関連法案を審議中の「子ども・子育て新システム」に対して、「公的保育制度を解体するもの」と廃案を求める運動が全国で広がっています。京都では、「子ども・子育て新システムに反対する京都の会」が、粘り強い運動を展開中です。王野宮子・同会事務局長(たかつかさ保育園調理師)に今までの取り組みと今後の運動について語ってもらいました。

署名を広げて廃案に

「京都の会」事務局長・王野宮子さん

 私たちの「会」(10年9月発足)は「子ども・子育て新システムにレッドカードを!」を合言葉に、保護者、園長、職員、研究者が一丸となって取り組みを行ってきました。
 円山音楽堂での反対集会や100日間のマラソンスピーチなどの運動が、府・京都市両議会での新システム導入反対の意見書可決(11年)へと結実しました。今までつながりのなかった保育園も署名を集めてくれています。
 若い保護者や職員の頑張りも目覚ましいものがあります。1万347人分のアピール署名を集め内閣府へ届けたり(今年3月)、東京での反対集会(13日)には、保護者も含め30人の代表が参加しました。私たちの声を京都選出の国家議員に届ける「衆参議員に贈る週三新聞」を発行し、週3回、議員事務所に届けています。ユニークなネーミングや行動力は若い人ならではです。
 法案審議の山場は6月初旬と聞いています。6月3日、京都市中京区の三条大橋河川敷出発で「新システムはあかん! ふうせんパレード」を行い、市民にアピールします。新システムの問題点はまだ十分知られていません。宣伝、署名を広げに広げ、廃案を勝ち取るまで頑張る決意です。

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大切な子ども守ろう

京都市保育園保護者会連合協議会会長・増田友子さん

 5歳の子どもを保育園に通わせています。ベテランの保育士をはじめ、職員のしっかりとした体制があります。給食の食材一つとっても、国産のものを使うなど、安全面を大事にしています。そこで聞いた、「子どもの0~6歳の時が、人間の根っこの部分を育てる大事な時期」との言葉が忘れられません。
 ところが、国会に上程され、10日から審議が始まった「子ども・子育て新システム」法案は、大事な時期の子どもたちを金もうけの手段にしようとしています。保護者としては、このことが一番許せません。
 新システムでは、行政の保育実施義務をなくし、企業参入を認めようとしています。そうなると私の子どもの通う保育園のような体制は望めないと思います。もうけのためには、人件費が削られ、日替わりの派遣保育士に替えられる、給食も外部搬入に切り替えられ、弁当を子どもたちが食べているなどということになってしまうのではないでしょうか。
 一部の高級デラックス保育園か安上がりの保育園か、2極化が進み、親の経済力により子どもの受ける保育に格差が生じてしまうと思います。
 行政の保育責任がなくなることも大きな問題です。今までは、保育所に入所できなかった待機児童に対してどう対策を取るのか行政には責任がありました。
 新システムでは、保護者が自分で保育所を探して、契約をしなければなりません。京都市ではたくさんの待機児童がいますが、入所できなくても、保護者の自己責任という訳です。経済的に困難な家庭、虐待のおそれやアレルギー、障がいを持っているなど、困難な条件を持つ子どもたちが保育園から排除されてしまう危険性もあります。
 新システムで、保護者の多様なニーズに応え、待機児童をなくすなどと政府は説明していますが、子どもたちにとって、良いところは何一つありません。新システム法案は廃案しかありません。(「週刊しんぶん京都民報」2012年5月27日付掲載)