福知山市長選挙が6月3日告示、同10日投票でたたかわれます。長引く不況で1人当たりの給与所得が10年間で65万円も落ち込むなど市民生活が疲弊する中、現市政は国保料値上げを強行し、総事業費28億円の大型開発事業を推進するなど市民の暮らしに背を向けています。「市民が主人公の民主市政をつくる会」の杉本玄太郎候補の勝利で暮らしを守る市政への転換が求められます。

“取り上げ率”府内でトップ

京都府内市の保険証取り上げ率の比較 福知山市民の給与所得は450万7000円(02年度)から385万7000円(11年度)へ減少(京都府市町村税課税状況等の調より)。同市では国保料の滞納世帯は12・3%、就学援助受給児童は約2割となっています。
「民主市政の会」のアンケートでも、「生活が大変苦しい」「やや苦しい」を合わせると58%に上り、「国保料が高くて本当にひどい」「合併以降地域経済が落ち込み、生活が困難」などの声が寄せられています。
 苦境に追い打ちをかけるように、現市政は4年間で国保料を8900円引き上げました。滞納世帯に対する資格証明書の発行は296件と京都市をのぞいて府内で最も多く、正規の保険証の取り上げ率は、府内最高の11.95%です(グラフ)。
 出口淳子さん(64)の世帯は、夫と大学生の娘の3人です。夫婦の年金だけでは生活が苦しいため、淳子さんがパートで働いています。昨年の国保料は約25万8000円で、世帯の総所得の25%にもなります。出口さんは「国保料はパート代の3分の1にもなり、介護保険料も上がって負担増が続く中であらためて高いと感じます。滞納はしていなくても軽い負担ではありません。市には国保料を引き下げてもらいたいです」と語ります。

「凍結」を一転大型事業推進

「市民交流プラザ」の建設予定地(高架下から駐車場含む)「市民交流プラザ」の建設予定地(高架下から駐車場含む)

 現市長は、中心市街地の活性化拠点施設としてJR福知山駅北側に計画されていた「北近畿の都センター」について、「不要不急の事業」として前回選挙で「凍結」を公約。しかし、10年に事業費を縮小(48億円→28億円)しながらも、図書館や会議室などが入る「市民交流プラザ」(仮称)として“復活”させ、2014年の開業を目指して、事業を進めています。
 その一方で、04年からの3年間で約17倍の経済効果(助成金約1億5000万円→総工事額約26億円)を生んだ住宅改修助成制度については、「復活」を公約しながら、実現していません。同市夜久野町で工務店を営む衣川元喜さん(67)は、「お客さんにも喜ばれたし、単価の大きい工事を受注でき、助かりました。ゼネコンや大企業にしか恩恵のない大型事業ではなく、中小業者の仕事おこしにつながる住宅改修助成こそ復活すべき。市長は逆立ちしている」と話します。

補助カットで公民館が閉館

 現市政は、市民サービス切り捨ての行革路線を推進。旧3町(三和、大江、夜久野)の支所職員を増やさず、住民交流の場として活用されてきた地域公民館の運営に地元負担を導入しました。旧大江町では、祭り、婦人会、運動会など公民館を地域交流の拠点施設に位置づけ、施設の運営費を全額町が負担していました。
 しかし、「第4次福知山市行政改革」で、施設運営費の補助を減額し、管理経費を地元負担としました。こうした中で、今年4月にやむなく閉館した物成公民館の館長を昨年度まで務めた岩佐隆さん(77)は、「光熱費だけでも年間60万円の負担になります。閉館で、健康講座や調理教室、村おこしで約30年前に始めた『酒呑童子太鼓』の練習などができなくなりました。見栄えの良い大型開発ではなく、こうした地域の社会教育活動にこそ力を注ぐべきではないか」と憤っています。(「週刊しんぶん京都民報」2012年5月27日付掲載)

暮らし応援の緊急施策訴え 杉本玄太郎候補

街頭で政策を訴える杉本候補 「民主市政の会」の杉本玄太郎候補は「暮らしを守る市政を」と訴え支持を広げています。
 杉本氏は直ちに行う重要施策として、▽国保料1世帯1万円引き下げ、介護保険料・利用料の軽減▽中卒まで子どもの医療費窓口無料化▽住宅改修助成制度の緊急実施▽「産業活性化基本条例」を市民参加で策定─などを訴えています。
 4年間で行う施策では、▽予算と権限を持った地域振興協議会の設置▽公民館を地域作りの“核”に位置づける▽学校耐震化工事の促進▽通学路の安全対策▽福祉のまちづくり、再生可能エネルギーの振興で仕事づくり・雇用を確保─などを掲げています。