羽ばたくサギソウの群れ
伏見区の民家の庭先に今年も真っ白な翼を大きく広げたサギソウが舞い上がりました(写真)。シラサギそのものの姿の花がサギソウです。真っ白なコサギ、シュウサギ、ダイサギ、少しグレーがかったアオサギなどの総称がシラサギ。万葉集にも2つの詩が詠まれています。
さて、草花のサギソウですが、ラン科ハベナリア(ミズトンボとも)属で、花言葉は「神秘的な愛」です。葉っぱは広線形で白色の花は径3センチほど、写真のように唇弁が大きく3つに深裂し、白鷺が羽を広げたような両サイドの裂片です。9月上旬ぐらいまで咲き続けます。ところで同じラン科の仲間にはダイサギソウ、ミズトンボ、トンボソウ、コアニチドリ、イワチドリ、テガタチドリやノビネチドリなどのように鳥の名前のラン科仲間がたくさんあります。ラン科以外の草花ではホトトギス、タイトユソウ、カリガネ(雁)ソウ、舞ツルソウ、イロドリソウほかいっぱいあって、その姿や形から命名されているようです。
ところで鳥の白鷺類は鴨川や桂川でも見られますが、野草のサギソウは湿地開発、水田減少や「愛好家」の乱獲でほとんど見られなくなって絶滅寸前の状態といわれています。自然状態での多種多様な動植物が人間による環境破壊でつぎつぎと絶滅しまた絶滅の危機にあることはとても悲しいことです。(仲野良典)
「白鳥の鷺坂山の松陰に宿りて行かな夜もふけ行くを」(岩波書店刊『新日本古典文学体系』第2巻:「万葉集」第9巻1687より)