京都会館の10日解体着工ノー・イコモス「警告」に従え(1)鈴木博之さん
警告重く受け止めよ
イコモス国内委員会理事東京大学名誉教授 鈴木博之さん
イコモスの専門委員会が「危機警告」を発するのは異例の事です。京都会館が極めて重要な近代建築であることの評価を示したものです。
これまでに「危機警告」が発せられたのは、ストックホルム市立図書館と香港の中央政庁の建物の解体に対しての2件だけです。両方とも極めて重要な建築であることの表明であり、建物の破壊を取り止めさせる重要な役割を果たしました。それほど「危機警告」は重く受け止められています。
しかし、市は「危機警告」を無視し、京都会館の解体工事を始めようとしています。
保存要請の声は、イコモスをはじめ近代建築の顕彰を行う国際組織「DOKOMOMOJapan」など、国内外から数多く寄せられています。建物を性能のよいオペラハウスに生まれ変わらせるのだという論理は、独りよがりのものだと市は気付くべきです。計画を抜本的に考え直すことが求められています。(「週刊しんぶん京都民報」2012年9月9日付掲載)