うす黄色の花咲かすオクラ
5角形の青いとんがり帽子をしたオクラは野菜売り場にはなくてはならない野菜ですが、オクラの花はあまり知られていないようです。
写真が美しく咲いているオクラの花です(京都市南区の十条大宮下った畑で撮影)。黄と青の中間色の薄い色で大きさは直径10センチ前後の一日花です。きれいなハイビスカスやフヨウと同じ仲間のアオイ科。学名はAbelmoschus esculentusでトロロアオイ属で原産地はアフリカ東北部と言われています。実を切ったところが蓮根に似ているので陸蓮根、オクローなどと呼ばれていましたが。現在の和名はアメリカネリで「ネリ」は粘っこいのネリです。この粘りは、ヤマイモやサトイモ、モロヘイヤ、ナメコ、コンブ、納豆や蓮根を切ったときに糸を引きますが、すべてムチンという物質があるためで、胃など消化器系統の粘膜を保護して私たちの健康を守ってくれています。もちろん植物にとって粘りけは虫や病原菌を遠避け、身を守る生き残り作戦の一つです。
さて、オクラの歴史は古くエジプトでは2000年前には栽培されていたとの記録があると言います。その後、アフリカ系に人々が奴隷や移民などの移動によってアメリカ合衆国南部や西インド諸島やブラジル北部などでよく栽培されているといわれています。日本には江戸末期から明治初期に渡来しましたが、第2次大戦後急速に普及しました。ほんのわずかな霜や寒さで枯れてしまいますので、熱帯では背丈6メートルにもなる多年草ですが日本では1~2メートルで1年草です。
料理にはみそ汁、ワカメやトロロなどとの和え物、天ぷら、ポタージュ、バター炒めなどにもピッタリで、独特の味わいと歯ごたえがあります。また輪切りにした断面も5角星形で中に小さな白い種があってとても愛嬌があります。また、完熟した種は煎ってコーヒーの代用にもされています。
花言葉は「恋によって身が細る」。(仲野良典)