橋下「日本維新の会」の危険〈下〉 (1)福祉・公的医療
橋下徹大阪市長は新党「日本維新の会」を28日にも結成しようとしています。衆院選を焦点にした国政進出が狙いです。橋下氏のめざすものと同会の実態について、〈上〉に続き、京都の各団体関係者の危ぐの声を紹介します。
「維新八策」では「真の弱者支援」を口実に、医療分野では、▽公的医療保険給付の重症患者への重点化(軽症患者の自己負担増)▽混合診療を完全解禁――などを掲げ、保険で受けられる医療を切り縮めて社会保障費を削減しようとしています。
社会保障を変質させる
京都府保険医協会副理事長 垣田さち子さん
橋下氏は医療の現場で、今何が起こっているのかを知らないのでしょう。府保険医協会が会員医師を対象に行なった「受診抑制の実態」アンケート(2011年10月~12年4月)では、府内各地で「未収金」が増えていることが分かりました。「支払いを分割にしてほしい」「今日は1000円しかない」など患者さんが窓口負担を払えず、その分を医療機関が被っているのです。これは、前回アンケート(06年)にはなかった特徴で、急速に国民生活が疲弊していることの表れです。
橋下氏はまた、「風邪とかばかりを扱う開業医がどんどん増えてくる」と発言したと聞きましたが、一見、風邪だけのようで診察してみて、悪い症状が隠れていることも少なくありません。結果的に初診料だけで重症化を防ぐことができ、医療費削減効果も大きいのです。日本の医療を支えている身近な開業医の役割も目に入らないのでしょう。
先の通常国会では、小泉「構造改革」の延長線上にある、社会保障制度改革推進法が「一体改革」として成立しました。「維新八策」にある方針は、結局こうした流れと同じものであり、国民皆保険を否定し、現在の社会保障を変質させるものです。(「週刊しんぶん京都民報」2012年9月30日付掲載)