“戦後一貫している米追随” 憲法集会で元外交官の孫崎氏
「憲法記念秋のつどい」が16日、京都市下京区のキャンパスプラザ京都で開かれ、弁護士や学者、市民ら110人が参加しました。京都憲法会議、自由法曹団京都支部、憲法を守る婦人の会が共催したもの。
元外交官で防衛大学元教授の孫崎享氏が「戦後外交の正体 自主と追随の戦い」と題して講演。孫崎氏は、戦後一貫してアメリカの圧力の下で追随させられてきた歴史について、ポツダム宣言や降伏文書、講和条約などの内容や政財界の動きなどをひも解きながら解説しました。戦後、米軍はアセアン諸国からすべて撤退したのに日本にだけ米軍基地がある異常さについて、「安保条約、地位協定は占領時代から何も変わっていない。米国の対日政策はあくまでも米国の利益のためにある」と指摘。歴代の首相らが米追随へ頭を垂れて来た日米関係に触れ、原発やTPPも米国の利益にもとずく要求であると述べました。
そして「どんなに困難でも日本のゆずれない国益については主張し、理解を得るべきだ」と強調。原発やTPPでの国民的な反対運動の広がりについて「発言して行動する人が出て来た。重要なのは正しい知識を持つことだ」と述べました。
また、改憲勢力が集団的自衛権の行使を主張したり、尖閣諸島をめぐって中国とまともに対話をしないで武力による解決をしようとする政治家の動きについて、「非常に危険な状況。日本の政治はどこか狂い始めてきている。政治家は何をするかではなく、いいポストにどうつくかで動き始めている」と批判しました。
会場からの「領土問題の現実的な解決のために何をすべきか」の質問に対し、歴史の事実を検証し、いかに紛争しないかの知恵が求められていると回答。安保条約廃棄や憲法9条について意見を求められたことに対し、安保条約10条に基づいて、政府が廃棄通告をすれば廃棄できることや、9条を守る必要性にも賛同を表明しました。
立命館大学の小松浩教授が憲法改悪をめぐる情勢について報告。明文改憲の動向や今年4月に出した自民党の「日本国憲法改正草案」が05年の新憲法草案より一層右傾化している問題点を指摘しました。また、議会に正当な意見が反映される比例代表制を中心とした民主的な選挙制度に変革するため、比例定数削減阻止にむけた闘いの重要性を強調しました。