駆除、自然環境のあり方考えよう 有害鳥獣研究会が集い
シカ、サル、イノシシなど野生動物による農業被害問題について研究する京都府有害鳥獣問題研究会は24日、京都市上京区の府職員福利厚生センターで「京都の有害鳥獣問題を考える集い」を開きました。
舞鶴市農業委員会の関本長三郎・有害鳥獣対策委員長、松田茅里・美山町漁業共同組合長、北山の自然と文化を守る会の主原憲司幹事、京都府勤労者山岳連盟の中村好夫事務局長らが、それぞれ鳥獣害問題についての研究や体験などを報告しました。
関本氏は、舞鶴市内でのサルによる農作物被害が増加している状況を解説し、「駆除についてはさまざまな議論はあるが、農家から数を減らして欲しいという声は増えている。研究会で実態を調査し、広く問題提起していきたい」と述べました。
松田氏は、ほ場整備によって起こった土砂の流出など環境変化の状況やカワウの増加で放流した鮎が食べられるなど、美山町の自然環境の変化について報告。主原氏は、地球温暖化により、ナラ枯れなどの要因になる昆虫の北上など劇的な生態系変化が起こっていることを解説し、「ツキノワグマの生態系が脅かされている。有害鳥獣というが、シカやイノシシと、ツキノワグマを同列に扱うべきではない」と語りました。
参加者や研究者から「なんでも駆除すれば良いというものではない。農村を守り共存できる方法を探るのが大事」「動物が人間の環境になぜ入ってくるようになったのか。自然や人間の住環境変化をもっと調査すべき」などの意見や議論が行われました。