高学費の改善、給付制奨学金の導入を 全国院生協議会が省庁交渉
全国の大学院生自治会で作る全国大学院生協議会が11月30日、「研究と進学を阻害するいびつな高学費の改善」や「給付制奨学金の導入、無利子奨学金枠の拡大」「今年の9月に政府が留保を撤回した、国際人権規約A規約第13条2項(c)に基づく高等教育の漸進的な無償化」などを訴え、省庁・議員要請を行いました。要請には、東京、一橋、立命館、早稲田、中京、関西学院、東京農業、中央、首都大学東京の各大学大学院から36人が参加しました。
文部科学省への要請では、昨年度の概算要求に盛り込まれていた給付制奨学金が、今年度概算要求で削除された件について、「後退ではないのか。なぜ削除したのか」と厳しい質問がありました。これに対し、文科省は「去年度は財務省との交渉過程で予算化できなかった。今年も省内で議論はしたが、予算化の見通しが立たないので削除した」と述べるにとどまりました。参加者からは、「文科省が奨学金と呼んでいる貸与式のものは、国際的に奨学金と呼ばない。学生ローンだ」として、給付制の奨学金を求める意見が出ました。
多くの議員が選挙期間中で不在の中、要請に応じた川上義博議員(民主党)は、要請文と共に提出した「大学院生の経済実態に関するアンケート調査報告書」について「こんなちまちました物を作っても意味がない。みんな困ってるから我慢しろ。それが嫌なら革命おこせ」と述べました。これに対し、参加者からは「院生の経済実態を知ろうとしていないのではないか」「政権与党の議員が革命起こせとは矛盾している」などの批判が相次ぎました。
全国大学院生協議会の役員は、「大学院の学費を知らなかったり、自分が大学生だった頃の話を持ち出す議員や秘書も多く、国際人権規約の留保撤回など、変動する高等教育に関して昔から意識が変わっていない人が多かったように思う。今後も取り組みを続け、大学院生の環境を少しでも良くしていきたい」と述べました。(椥原正)