可憐に咲くニラの花
可憐な韮(ニラ)の花が左京区の京大高度先端医療病棟前に写真のようにエノコログサといっしょに咲いています。花は8月から9月につけますので厳冬の今、遅咲きで精一杯踏ん張っているようです。
ニラはユリ科ネギ属の1種で学名はAllium tuberosumでノビル、ネギやタマネギなども同じ仲間です。属名のアリウムは辛いという意味。匂いは硫化アリル類などの硫黄化合物が含まれているためです。ビタミンB1、B2、B3、C、D、E、Kやカルシウム、βカロテン、リン、鉄ほかいろいろな栄養素が含まれ栄養価が高く代謝機能、免疫機能を高め疲労回復力も抜群です。原産は中国西部といわれており、日本には古く渡来し、『古事記』に「カミラ」の名で、『万葉集』では「ククミラ」の名で登場します。当時は「ミラ」と呼ばれていたらしいですが、「フタモジ」、「ニランギ」、「ジャマ」、「コジキネブカ」、沖縄では「キンピラ」、「ンーダー」などさまざまな名前が付けられているようです。
畑や家庭菜園の隅っこに植えられていたものが道ばたや草地などに逃げ出して群生しています。花は花茎の先端にまるく集まって可憐な花を咲かせます。葉は平たく柔らかく豚ニラいためなど多様な調理に用いられています。
なお、水仙も同じような葉をしていますが、有毒ですので注意してください。(仲野)
「伎波都久(キハツク)の 岡の茎韮(ククミラ)吾摘めど 籠(コ)にもたなふ 背(セ)なと摘まさね」(中央公論社刊『萬葉集注釋』巻14-3444)