春を呼ぶノゲシ
1月も終わりになりましたが、厳冬の真冬日がまだまだ続きます。そんな1月末日、小雪ちらつく八幡市の木津川と宇治川の合流地点の約1.5キロほどの背割公園の堤に群がってハルノノゲシが小さな黄色い花を咲かせています(写真)。
ノゲシは、ケシ(芥子)の葉っぱに似て野に咲くから名付けられていますが、ケシ科の芥子とはまったく別種でキク科ソンクス属(別名ハチジョウナ属)の仲間です。学名はSonchus oieraceus。越年生1年草で日本全土に分布しています。花期は4~5月ですが1月中旬頃からタンポポを小さくしたような黄色い可愛い花をつけます。茎を切るとタンポポと同じように白い乳液が出てきます。葉っぱは切り込みが深く、これに荒々しいトゲがあるノゲシはオニノノゲシ(2年草)です。
また、海岸などの砂地や荒れ地には同じ仲間のハチジョウナが群生して咲きます。従兄弟にはキク科アキノノゲシ属の白いアキノノゲシ(開花は8月~11月)や筒状の紫の小花のムラサキガナ(開花は6月~8月)などがあり、オニタビラコ属のクサノオウバノギク(は8開花月~11月)、オニタビラコ(花期は5月~8月)やヤクシソウ(開花は8月~11月)なども黄色い小さな花を咲かせます。ハルノノゲシは夏をこして秋頃まで長きにわたって咲き続けます。日本の野生植物として扱われていますが、元来はヨーロッパから中国を経由して有史以前に伝わった史前帰化植物の一つとも言われています。
ちなみによく似た兄弟のオニノノゲシは明治時代に渡来しました。ものすごくたくましくて人の背丈まで伸びます。最近はハルノノゲシとオニノノゲシの交配種が広がっていると言う報告もあります。酪農盛んなヨーロッパでは厳冬で野原の草がない中で、このノゲシだけが常緑の葉っぱをいっぱいに広げており、羊や兔も好んで食べてくれるとのこと。(仲野良典)
「厳冬の背割りぽつりとノゲシかな」(良典)