「河野談話」の見直し論の弱点を鋭く突いた志位質問 共産党京都6区国政委員長・上條亮一
日本共産党の志位和夫委員長は、1月31日に行われた衆院本会議の代表質問で、「河野談話」の見直し問題を取り上げました。「いつもながらの入念な準備と周到な組み立てで首相に迫った」(朝日新聞2月3日付)と評され、大きな反響を広げています。これに異常な反応を示したのが京都6区の安藤裕衆院議員でした。
安藤氏は自らのブログで「このような内容(注:志位氏の質問内容)を国会議員が国会の場で主張してしまう、ということ自体が本当に残念です」と述べました。この発言は、志位氏の質問が「河野談話」の見直しを迫る人たちの主張の問題点を鋭く突いたことに対する慌てぶりを示しています。
志位氏は代表質問で、安倍首相が「河野談話」の見直しを主張していることについて見解を問いました。「河野談話」の作成に携わった石原信雄官房副長官(当時)の証言を引用しながら、「『河野談話』は強制性を立証する文書を見つけることはできなかったことを前提に、『慰安婦』とされた人たちの証言の真実性にもとづいて、政府として強制性を認めたもの」と指摘し、「『強制性を立証する文書がないから強制の事実はなかった』などという議論を肯定する余地はまったくない」ことを示しました。
安倍首相は志位氏の指摘を否定できず、「筆舌に尽くしがたい辛い思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛みます。この点についての思いは、歴代総理と変わりはありません」と答え、「この問題を政治問題、外交問題化させるべきではない」と述べざるを得ませんでした。
志位氏の質問は、日本の国際的な信用を守った大変意義のあるものでした。そもそも安倍首相は、かつて政権を担当した2007年にも「旧日本軍の強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実だ」という趣旨の発言を行い、国際的に厳しい批判を浴びました。
安倍首相は「河野談話」の見直しに言及することで、国際社会において「日本の謝罪は不誠実である」と見なされ、日本の国際的な孤立につながることを自覚するべきです。志位氏の質問内容を「残念」だと感じる安藤氏は、談話の見直しが「慰安婦」とされた方々を再び傷つけることになることや、アジア太平洋戦争における日本の加害性をどう考えているのか明白に述べるべきです。
看過できないことは、安藤氏が「このこと(注:日本が侵略戦争の反省を忘れないこと)が日本を対米依存にしている最大の要因です」というような、とんでもないことを言っていることです。
2度と戦争をしないと誓った憲法9条は、対等平等の国際関係を日本が築く礎となっているし、日本が国際社会で名誉ある地位を得る土台ともなっているのではないでしょうか。対米依存の最も大きな原因は日米安保条約にあります。普天間基地の閉鎖・撤去とオスプレイの配備撤回は沖縄県民の総意となっていますが、安倍政権はこの問題を無視し続けています。
安藤氏の見解は、この問題から目を背けさせるためのごまかしに過ぎません。対米依存から抜け出すためには安保条約を廃棄し、アメリカと対等平等の友好条約を結ぶことが必要です。(「週刊しんぶん京都民報」2013年2月24日付掲載)