京都市公共料金値上げ可決で声明 日本共産党市議団
京都市の水道料、保育料をはじめ合計14億8600万円の公共料金値上げ案が、22日の市議会2月定例会最終本会議で日本共産党をのぞく各党の賛成多数で可決しました。日本共産党は同日、「市民生活の破壊と市民サービス切り捨てを許さないたたかいの先頭に立つ」とする「声明」を発表しました。以下、「声明」の全文を紹介します。
一、本日、2月定例市会は、市長提案の105議案を可決し閉会しました。本予算に先立って2月27日に、「2013年度当初予算と一体」の2012年度補正予算が日本共産党議員団のみの反対で成立しました。党議員団は、防災・減災の緊急事業は必要な事業として認めつつ、補正全体は大型公共事業のバラマキを復活させる国の緊急経済対策をうけて提案されたものであり、市債の増発により将来の市民負担につながるものとして反対しました。
13年度一般会計予算はじめ市長提案議案について党議員団は、70議案に賛成し、値上げラッシュの一般会計予算、大幅な料金値上げの水道事業会計、高すぎる保険料を据え置いた国民健康保険事業特別会計、など35議案には反対しました。自民、民主・都みらい、公明、みんなの党・無所属の会は市長提案の全てに賛成し、京都党は予算案を「失政」として初めて一般会計予算に反対しました。
一、一般会計予算は、市長2期目のマニフェストを具体化した「京プラン」・実施計画2年目の予算であり、基本理念である「持続可能な財政の確立、財源確保のための財政構造改革」予算として提案されました。
国の緊急経済対策路線をうけて公共投資枠と市債発行額を大幅に増額し、市債残高は臨時財政対策債を含めると1兆2,600億円となり、引き続き市債依存体質を深めています。部門別定員管理計画による消防職員34人を含む105人の職員削減が提案され、市営保育所2園の民間移管、社会福祉施設職員の特殊健康診断事業の廃止など173事業の縮小・見直し、市保有地の民間への売却と貸付方針をすすめ、「債権」回収基本指針による母子寡婦福祉資金貸付金回収の民間業務委託が具体化されましたが、行政責任の放棄であると厳しく指摘しました。党議員団は、実施計画による市民生活の破壊と市民サービス切り捨てを許さないたたかいの先頭に立ち、市民のみなさんとともに奮闘する決意です。
一、保育料、水道料金、文化・スポーツ施設使用料など総額14億9,000万円もの値上げと市民負担増であり、党議員団は会期中も自治体要求連絡会と共催するなど2回の緊急報告会を開催して告発し、値上げ提案の撤回を求めました。
保育料と学童保育利用料の値上げに対して、2週間で1万筆を越える署名が集められ、与党会派を「学童保育料の値上げ1年間先送り」の付帯決議を提出するところまで追い詰めました。保健福祉局は、議会に提案すると同時に保護者向けに値上げを前提にした説明資料を保育園で配布し、議会軽視と審議妨害として厳重に抗議しました。
さらに、上下水道料金値上げは、年間負担総額18億6千万円もの大幅な提案であり、党議員団は公聴会の開催を求めましたが、市長は拒否し、日本共産党以外の会派は否決しました。値上げは、全国的にも例がない老朽水道管更新の費用を料金値上げで市民負担にすること、上下水道会計ともこの数年黒字であること、「元気交付金」の活用がまったく検討されていないことを指摘し、値上げ提案の撤回と10月の値上げ実施回避の努力を求めました。党議員団は審議が尽くされていないとして、保育料等の値上げとともに、閉会本会議で審議を継続するよう求めました。
生活保護行政では、不正受給防止キャンペーンや「適正給付推進課」の設置が進み、保護申請と受給の抑制につながる問題の重大性を指摘し厳しく追及、副市長を「適正対策は漏給対策も含む」と答弁せざるを得ないところに追い込みました。教育予算は10年間で122億円もの削減となっており、「教育と福祉は後退させない」姿勢が破綻しています。美術館展示室の50%値上げ、京都会館・美術館の設置目的の変更と、岡崎活性化ビジョンによる市民財産の変質の動きを厳しく批判しました。
中小企業振興条例の策定は「理念だけ決めても」、公契約条例は「条例制定を待つことなく」と先送りする市長に、一刻も早い制定を求めました。
一、東日本大震災、福島原発事故から2年目が過ぎ、改めて「原発即時ゼロ」の政治決断、大飯原発の稼働停止と再生可能エネルギーの飛躍的普及と予算措置を求めました。また、市営住宅に避難している被災者が3年を経ても入居継続できるよう政府に求める、との答弁を引き出しました。
道州制基本法制定をめざす安倍政権の動きを受けて、関西財界の意のままに前のめりに「特別自治市と道州制をめざす」とする市長に、市民の暮らしを守る地方自治と逆行する姿勢を改めるよう求めました。
現在凍結されている市職員厚生会への事業主負担金を再開し、地方公務員法42条に基づき、事業主の責務を果たすよう強く求めました。与党会派は、市民負担増と引き換えに、厚生会への事業主負担金交付の凍結を求めて修正案を可決させました。
国による地方交付税を人質にした地方公務員給与の削減に対し、断固撤回の声を国に上げるよう求めました。
一、市民の粘り強い要求運動と党議員団の共同した力で、必要な事業が前進しました。子どもの医療費助成制度の3千円を超える通院分の償還払いが改善され、委任払いとなりました。保育所・障害者福祉施設・介護基盤施設の整備がすすみ、橋梁の耐震化、学校の維持修繕、市営住宅の風呂がまの改修と取替えを公費でおこなうことになりました。
意見書・決議では「国民皆保険制度の恒久的堅持を求める意見書」「東日本大震災の被災者への住宅支援等に関する意見書」「中小企業の再生・活性化の充実・強化を求める意見書」が全会派一致で採択され、党議員団は「雇用の安定と就労条件の改善に関する決議」「生活保護基準引き下げ政府方針の撤回を求める意見書」と「TPP交渉への参加をしないように求める意見書」を提案し、討論しました。
一、財政難を理由に、福祉も教育も切り捨て、値上げと市民負担増を押しつける一方、ムダ遣いには見直しも反省もありません。焼却灰溶融施設は事故とトラブル続きで未完成な欠陥施設であるにもかかわらず、本格稼働に固執し年間ベースで20億円超の運転経費を予算化。リニア中央新幹線の京都駅誘致要望を加速させ500万円の予算措置をしています。党議員団は、ムダ遣いの中止を求めて奮闘しました。
一、党の国会論戦が切り拓いた雇用の安定と賃上げを求める流れは、地方自治体を大きく動かしています。雇用の安定と賃上げを求めた議員団の質疑が、府・市・京都労働局の三者による京都経営者協会や経済団体への要請につながりました。引き続く要請と実行を求めていきます。
総選挙で政権交代した自公政権は、消費税の増税、大型公共事業の復活、TPP交渉参加の表明、沖縄へのオスプレイ配備、憲法9条改悪、など暴走を始めています。党議員団は、参議院選挙で市民生活を破壊する「税と社会保障の一体改悪」を許さない政治の実現に全力をあげます。同時に、市民のいのちと暮らしを守る市政の実現を求めて、全力を挙げる決意です。