「地震・噴火・津波の国」の原発考える 京都アピール講演会に230人
安倍内閣が原子力規制委の新規性基準をテコに原発再稼働を狙うなか、京都から原発ゼロのアピール運動を呼びかけている京都ゆかりの著名な学者・専門家9氏が主催する第4回講演会が20日、同志社大学(京都市上京区)で開かれ、約232人が参加しました。
地震学が専門で、福島原発事故の政府事故調委員を務めた尾池和夫氏(京都造形芸術大学学長)が記念講演しました。尾池氏は、日本列島は世界でも珍しい、地殻活動が活発な変動帯に位置し、「地震と噴火と津波の国」と指摘。「3・11」以前、政府の地震調査研究推進本部が東北沖で多くの地震を長期予報する一方で、防災対策の根幹を担う中央防災会議が福島県沖を想定していなかった背景に原発の存在があったとする調査を紹介し、「大問題だ」と批判しました。
また、地震で福島第1原発周辺の鉄塔が倒れたり、事務棟の屋根が落ちたことをあげ、「原発を取り巻く設備があんなにももろいものだとは思いもよらなかった」と語りました。最後に尾池氏は、「本当に怖いものをどう認識するか」が大事として、「『怖い』と思わせてはいけないという原発行政があの事故を引き起こした。何が怖いのかをはっきりさせなくてはいけない」と締め括りました。
呼びかけ人の安斎育郎立命館大学名誉教授は、放射能汚染と向き合う姿勢について、「“産地”でなく“実態”で判断してほしい」と強調し、「実践的に放射線被ばくを低減する手立てを提供しながら、被災者と手を結んで原発ゼロの運動を進めることが重要」と述べました。
共催した「同志社平和の会」代表の出原政雄法学部教授は、同志社大学を創設した新島襄とゆかりの深い内村鑑三が今から100年前に太陽光や風力、地熱など自然エネルギー活用に言及していた文章を紹介し、「昔の知恵にも学びながら、原発ゼロの運動に協力していきたい」とあいさつしました。
当日案内のポスターを見て参加した法学部2回生の男子学生(19)は、「原発をどう考え、どうやってゼロにしていくのか、方向性を学ぶことができて良かった」と話していました。