参院京都選挙区(改選数2)“自共対決”の構図クッキリ(1)
アベノミクス・TPP
民主・維新 自民・補完勢力の姿あらわ
雇用増、賃上げなく「破たん」
安倍政権は「アベノミクス」と称する経済政策を最大の売り物として選挙戦をたたかおうとしています。しかし、雇用増や労働者の賃上げにはつながらず、急激な円安による輸入物価や生活用品、電気・灯油などの高騰が国民生活に負担をもたらし、原材料費値上げが中小企業経営を圧迫し始めるなど、既に「破たん」の様相を呈しています。
自民党現職の西田昌司参院議員(1期)は、アベノミクスについて、府内の自民党議員からも「アベノミクスの期待感から株価等は上昇していますが、原油価格の上昇等によって、物価高だけしか実感できていない状況」(田中明秀京都市議のブログ)という懸念が出されるなか、言い訳に躍起。中小業者を苦しめている電気・ガスの値上がりについて、「民主党政権が原発を止めたために天然ガス、石油の輸入が増えたから。円安以前の問題」(4月1日の街宣)と責任転嫁しています。
元衆院議員で民主党新人の北神圭朗氏は、「『アベノミクス』は、過度な円高を解消し、『気分』を明るくするという面では一定の評価ができます」(公認決定にあたってのあいさつ)と主張。同氏の選対事務局長を務める中小路健吾同党府連幹事長(府議)は、安倍政権の評価について、「事実として株価が上がり、経済が好転してるので一定の評価はする」(「毎日」14日付)という姿勢です。
「日本維新の会」公認の山内成介氏は、「アベノミクス」を念頭に、「今、安倍政権は非常に調子がよくってどんどん結果を出してスピード感もあって、これはとてもいいこと」と手放しで持ち上げたうえで、「われわれ維新が一定数を取ることによって、安倍さんは(自民党内の)反対を排除しても私たちと一緒にやっていきますからいいですよっていうことで、今の決める政治、スピード感の政治をどんどん続けていくことができる」「僕自身がその一つ、石杖(ママ)として自民党をピリッとさせる。その役割を担っていきたいし担っていけるんじゃないかと思っています」(4月13日付のネット上の動画)と自民党の補完勢力であることをあけすけに語っています。
[[SplitPage]]
内需を喚起する経済対策が必要
倉林氏は、「賃上げと安定した雇用の拡大で働く人の所得を増やしてこそ景気回復する」と訴え、同党府雇用・リストラ対策本部長として府・京都市、京都商工会議所などと懇談・要請。府内の中小業者や経済団体を訪ね、電気代や燃料費の高騰の影響などを聞き取り、「『アベノミクス』は実態経済の回復をともなわず、円安による重油代や公共料金の上昇が経営を圧迫している。内需を喚起する経済政策こそ必要」と主張しています。
日本を丸ごとアメリカに売り渡すことになるTPP(環太平洋連携協定)をめぐって、安倍首相は3月の交渉参加表明に続き、アメリカとの事前協議「合意」(4月12日)を経て、交渉参加11カ国すべての同意を取り付けるなど参加への道をしゃにむに突き進んでいます。
「絶対反対」がトーンダウン
西田氏は、昨年の総選挙では「TPP絶対反対」を叫び、安倍内閣成立後も街頭などで「農業だけでなく医療、保険、政府調達など幅広い分野にわたって国益にかなうかどうかが問題」「日本にとってプラスになることはまったくなく、参加する意味がない。百害あって一利なし」(2月4日の街頭宣伝)と強硬に反対していましたが、安倍首相がオバマ米大統領との首脳会談(2月22日)を経て交渉参加を表明すると、「首相から交渉で国益を守れるとの自信を感じた」(3月16日付「京都」)と一気に“トーンダウン”しました。
北神氏は、野田内閣の経産大臣政務官(2011年9月~12年9月)としてTPP参加を推進してきた張本人です。
政務官在任中に経団連が日米両国の企業経営者と共催したシンポジウム(「TPP―アジア太平洋地域の成長の源泉」、11年10月7日)で政府代表として基調講演し、「空洞化が進行するなか、日本は包括的な経済連携を推進する必要がある」「米国、豪州やアジアの主要国を含むTPPへの参加は外交戦略上も最善の選択肢」(「経団連タイムス」11年10月20日付)と主張。現在も「貿易立国として躍進していくために、TPPをはじめ自由貿易を推進する必要があります」(参院選公認決定のあいさつ)と主張しています。
自民の公約違反撤回強く求める
倉林候補は、昨年11月に結成された農業団体、医療関係団体、労組などでつくる「TPP反対京都ネットワーク」の運動と共同して、府内の農林漁業従事者や医療団体などから不安の声や懸念を聞き取り、参加中止を求める運動の先頭に立ってきました。「私も福島県会津の農家出身。交渉で『聖域』確保の可能性はほとんどなく、TPP交渉参加は自民党の公約違反。安倍内閣に交渉参加の撤回を強く求めていく」と訴えています。(「週刊しんぶん京都民報」2013年5月26日付掲載)