用途の広いエゴの実
落葉小高木のエゴノキは5、6月に白い花冠に黄の雄しべの葯の花を咲かせていましたが、今は可愛い青い実が連なっています(写真=伏見区七瀬川添いに植生する雨上がりのエゴノキの実)。綺麗な花は葉蔭につり下がるように下向けに咲きます。同じく丸っこい実も写真の柄だからサクランボのようにぶら下がっています。枝を揺すると一斉におもしろく揺れます。
学名はStyrax japonica(Styraxは安息香の意味で香りがあります)でエゴノキ科エゴニキ属。和名のエゴノキは実が喉や舌がしびれるほどえぐい・いがらっぽいところから付けられました。実皮には有毒物質のエゴサポニンが含まれており、昔は実をつぶして泡立たせて洗濯石鹸の代用にしたり、麻酔効果があるので、川に流して魚をしびれさせて浮き上がったところを捕る漁法にもの使われました(今はこの漁法は禁止されているとのことです)。別名に「萵苣(チシャ)の木」や番傘の柄の上端につける円い轆轤(ロクロ)や糸巻きの轆轤などに使われているので「轆轤木」ともいい、その他全国各地でいろいろな呼び名があります。庭園樹や公園樹などの植え込みにもなり、木材は轆轤の他に床柱、杖、玩具、将棋駒、パイプなど用途は広いようです。(仲野良典)
「水口(ミナクチ)のえごのひと木の群花(ムラバナ)は 田の植ゑそめていよよすがしさ」(北原白秋)