京都96条の会発足 憲法改正のハードルを引き下げる96条改正に反対しようと、「京都96条の会」が16日に発足しました。同日、龍谷大学深草キャンパス(京都市伏見区)で発足記念シンポジウムが開かれ、呼びかけ人や市民ら80人が参加しました。
 同会は代表の岡野八代・同志社大学大学院教授をはじめ、京都の研究者やジャーナリスト、弁護士ら23人が呼びかけたもの。今年8月には準備会として京都市内で「立ち上がりシンポ」を開催しました。
 呼びかけ人の1人で、日本学術会議前会長の廣渡清吾・専修大学法学部教授が「約束と希望としての憲法─安倍政権の反動的憲法政策をただす」と題して基調講演しました。廣渡氏は、96条改正を狙う安倍政権の姿勢について、「取り戻そうとしている日本は、天皇を元首にいただく戦争する国家だ」と批判。憲法改正の国会発議がなぜ過半数ではなく「3分の2以上」の賛成を必要としているかについて、世界で最も民主主義的な憲法でありながら、立憲主義的な憲法保障の仕組みがなかったためにナチス独裁政治を生んでしまったワイマール憲法が歩んだ歴史を例にあげ、「憲法を単純な民主主義多数決に委ねてしまえば、時の政権によってオールマイティに変えられてしまう。どんな政権であっても憲法によって拘束され、憲法の価値の実現を政権に義務付けることが国民にとっても肝要」と述べました。
 最後に、京都大学在学中の1970年に沖縄からの“留学生”が「日米安保の下の日本ではなく、平和憲法のある新生日本に復帰したい」と語ったことを紹介し、「憲法は沖縄との絆でもある。絶対に自民党改憲案の実現を許してはならない」と強調しました。
 代表の岡野氏が今後の活動について、「憲法の理念がなぜ必要なのか市民の方々と議論していきたい」と述べ、隔月で開催予定の「京都憲法サロン」の第1回を来年1月25日に呼びかけ人の谷口真由美・大阪国際大学准教授を迎えて行うことを報告しました。
 シンポの最後に広原盛明・元府立大学学長(呼びかけ人)があいさつし、「96条改正は、改憲の“マスターキー”であり、解釈変更による集団的自衛権行使はいわば無断で鍵を複製するようなもの。個人を原点に憲法を守る運動を広げていこう」と呼びかけました。
 参加した大阪大学大学院の女子学生(25)は、「今の政権が96条を変えたいのは9条を変えたいから。それは戦争することにつながるから食い止めたい」と話していました。