TPPストップ口丹連絡会 TPPストップ口丹連絡会は17日、南丹市の口丹波勤労者会館で「秘密だらけのTPP このまま許していいの?」と題したシンポジウムを開き、同市や丹波町、京都市京北町から農民や労働者ら130人が参加しました。
 滋賀県で昨年3月に結成された「TPPから県民のいのちと暮らし/医療と食を守る県民会議」代表世話人の小池恒男滋賀県立大学名誉教授が講演。府保険医協会の渡邊賢治副理事長、専業農家の越川尚男さん、消費者問題に取り組む小林智子さん、京建労本部自治体対策部の西森睿治部長が発言しました。
 小池氏は2006年から始まったTPP(環太平洋連携協定)の歴史的経過や21分野にわたる交渉内容と問題点、運動の方向性などについて報告しました。TPPは国家間の商業取引に関する協定で「原則として例外を認めない」特殊な協定であり、幅広い国民生活に広く影響を及ぼすと指摘。最大の問題点として(1)前代見聞の秘密主義(2)多国籍企業のための通商交渉(3)輸出は増えず日本の経済的メリットはない(4)国の主権をおびやかす、をあげ「TPPには条件闘争はない。命と暮らしすべてにかかわってくる問題で、国の形を変えてしまう可能性もある」と強調しました。
 渡邊氏は国民皆保険制度の公平性や医療の非営利化が形がい化への懸念、越川氏はアメリカの巨大な農業ビジネスの参入への不安について述べました。小林氏はアメリカの遺伝子組み換え食品の現状や日本の農薬基準の違いなどを指摘し、日本が誇る食品の安全を守ろうと訴え。西森氏は韓国とアメリカの2国間FTAの現状などを紹介。飼料高騰で廃業においやられた酪農家の実例や外国投資家が相手国の制度や規制で期待したもうけが得られなかった場合に国際裁判を強制するISDS条項について「強烈な政治介入だ」と述べました。
 参加者からは「米作りが続けられるのか」「農産物の輸出で生き残れるのか」などの質問が寄せられ、シンポジストと意見交換。小池氏は10月に経団連会長である住友化学の米倉会長が米企業のモンサント社と契約したことを紹介し、「21世紀型の通商交渉は多国籍企業と国家の取引と言われているが、こんなことを許していいのか。12の参加国の中には国益を損なうとTPPからの離脱も考えている国もある。アメリカ内部の矛盾もあり、たたかいはまだまだこれから。世論に訴え、交渉から撤退させよう」と呼びかけました。
 京北町から参加した杉本良雄さん(66)は「新聞を見ていたつもりだが、こんな内容だとは知らなかった。地元に帰ってTPPの危険性をもっと知らせたい」と話していました。