王朝風を偲ばせる嵯峨菊
京都嵯峨にある旧嵯峨御所大覚寺で11月末まで嵯峨菊展が開催されていました。最終日の30日にも大勢の観光客が訪れ、まだまだきれいな500株ほどの嵯峨菊(写真)を愛でていました。
嵯峨菊は古代菊の一つで隣接する大沢池の菊ケ島に自生した野菊を江戸期に改良して以来160年ほどの歴史があると伝えられています。嵯峨大覚寺境内だけで栽培されている門外不出のとても珍しい菊です。キク科キキ属で学名はChrysanthemum graddiflorm cv.Sagaと言う長い名前で写真のように水引or針金のように細くて長い花弁が打ち上げ花火のように広がる独特な菊です。花弁は紫・紅・黄・白の4色で直径10センチ~20センチほどの中菊でとても美しく風情があります。
ところで大覚寺は旧嵯峨御所の一部で嵯峨天皇が亡くなった後に大覚寺という名前の寺院になりました。寺伝によると一時荒廃したが後宇多天皇が再興し大覚寺統を形成し、その後幾多の変遷を経緯しました。境内は広大で御影堂、晨殿、霊明殿、五大堂ほか建造物だけでもたくさんあり旧御所の絢爛さを今に伝えています。
嵐山の北方に位置する嵯峨野界隈には大覚寺、清涼寺、化野念仏寺、祇王寺、二尊院や常寂光寺などが立ち並ぶ京都随一の名勝ルートでもあり、四季を通じて大勢の観光客が訪れます。今はいずれの寺院とも美しい紅葉が真っ盛りで散策する姿があちらこちらに見かけます。また小径筋には湯豆腐や懐石料理店があって昼時は長い列ができています。12月に入っても観光客で賑わう嵯峨野や嵐山界隈です。(仲野良典)