「初寅大祭」で家内安全と五穀豊穣 山科・毘沙門堂
正月3ヶ日も過ぎた7日は「初寅の日」。この日は寅の縁日とする毘沙門天をまつる山科の毘沙門堂の「初寅大祭」です。御堂で護摩法要が奉じられ営まれ、招福、家内安全に五穀豊穣を祈願します。古くからの言い伝えでは東北に向かって経文を唱えると衆生に福が授かるとのことで地元の人々から親しまれています。7日と前日後日の3日間、「初寅大祭」が行われます。
参道から急な階段を登って山門を潜ると境内です。境内では大きな古木が燃やされて暖をとり「魔除けの寅」の福笹の授与や甘酒の無料接待などもあります。地元の年輩の2人連れは、「今年は杖を付いてのお参りができました。体が動く間はここにお参りに来ようと思っています。それにこの甘酒がおいしい、ありがたいです」とフーフーと息をかけて啜っていました。
山科毘沙門堂はJR東海道本線を潜り、琵琶湖疎水を渡って山沿いにあります。寺伝では、平安遷都の前、703年(大宝3年)に相国寺の北に創建された寺院が発祥といい、平安遷都前後に伝教大師(最澄)が自ら作った毘沙門天を安置し毘沙門堂と呼ばれたとか。その後、戦乱などを経て江戸時代に現在地に再建されました。りっぱな宸殿には狩野益信筆の見る角度のよって目や顔の向きが変わる「天井の龍」や逆縁近法で描かれた「九老え図」の襖や庭園「晩翠園」が有名です。琵琶湖疎水北部の附近一帯は山科歴史的風土特別保存地区に指定され、安祥寺、本国寺、護国寺、永興寺などがあります。四季を通しての散策やハイキングにとても人気があるコースです。(仲野良典)