一両十両百両千両万両 赤い実も春迎える
何年ぶりかの大雪に見舞われた京都府下。交通障害や滑ってけがなどの災害も発生しました。一方、京都市内の子たちにとって雪はうれしくて校庭や公園などでさっそく雪合戦や雪だるまをつくったり楽しんでいました。そんな風景の中、大山崎町の天王山麓にある観音寺(通称「山崎の聖天さん」)の境内に今季最後の赤く実った千両が春を迎えています。
秋から冬にかけて小粒の赤い実をつけ、縁起物として庭園などや生け花に添えられたりする、一両(ヤブコウジ科:別名蟻通=アリドオシ)・十両(ヤブコウジ科:別名藪柑子や山橘)・百両(ヤブコウシ科:別名唐橘)・千両(センリョウ科:別名草珊瑚)・万両(ヤブコウジ科:別名草橘)です。中でも千両と万両がもっとも親しまれているようです。万両の名は千両よりもたくさん赤い実を付けるから。両者の違いは、万両の実は葉っぱの下方にぶら下げますが千両は葉っぱから上に実を付け、葉も千両は対生(左右に付く)で万両は互生(互いに違いに付ける)などの違いがあります。ところで、江戸時代には一番高価なのが百両と言われていたようで、「百両以上出さないと手に入らない」ので「百両」とか。ほとんどが一つだけポツント赤い実を付けるのが「一両」、晩秋に輝くような赤い実をつけるのが「十両」です。
千両(学名Chloranthus glaber
「この雪の消(け)残る時にいざ行かな山橘(やまたちばな)の実の照るも見む」(大伴家持)【「この雪が消え残っている間に、さあ行こう、山橘の実の照りはえているのも見よう」訳=岩波書店『新日本古典文学体系』第4巻萬葉集より:この歌の山橘はヤブコウジ属で「マンリョウ」の兄弟「ヤブコウジ」で