モクレンとサクラの饗宴
京都の街も桜はピークで、東山や嵐山界隈は多くの人達が訪れで堪能しています。【京都の桜情報については京都民報Web「2010年2011年【京都桜情報】」を検索すると各地のエリア毎に写真や交通関係など見ることができます】
写真は、桜と木蓮が美しく饗宴している伏見区京町の大きな町屋の庭先です(今年4月4日撮影)。サクラはエドヒガンに似ていると思って当町屋に聞けば「ソメイヨシノですよ」とのこと。
ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラというヤマザクラの雑種です。ソメイヨシノ(染井吉野:学名Prunus x yedoensis cv. Yedoensis)は江戸末期に江戸染井(現在の豊島区駒込)の植木屋が売り出して全国に広がったといわれています。当初は大和吉野の桜が知られていたので「吉野桜」とう名前で売り出されたが、大和吉野の桜(ヤマザクラ:Prunus jamasakura:京都嵐山と同種)と誤解されるので、明治33年(1900年)に染井吉野と命名されて、「日本園芸雑誌」に発表されました。古来から桜と言えば山桜でしたが、今日では桜と言えばソメイヨシノが主流になっているようですし、桜の開花情報もソメイヨシノになっています。写真のソメイヨシノは大木で見事に繚乱と咲き誇っていました。
モクレン(学名=Magnolia liliflora:別名=シモクレン・モクレンゲ)の開花は4月はじめから5月にかけて咲きます。ソメイヨシノと同じく葉が出る前に花を咲かせます。シデコブシやハクモクレンなどとは兄弟でホオノキやコブシなどとは従兄弟にあたります。
原産は中国四川省あたりで、地球上で1億年以上も前からすでに今の姿で、最古の花木といわれています。木蓮の名前は、花が蓮の花に似ている木ということからです。「シモクレン(紫木蓮)」、「トウモクレン(唐木蓮)など種類も多様ですが「モクレン(木蓮)」と総称しているようです。花がランに似ているので「木蘭」とも言われていた時期もあるようです。どの花も半開で北方を指し、花の内側は白く外側は写真のように赤紫でコントラストが美しいです。花びらは風もないのに一斉に落下します。花びらが大きいので「バラバラ」と音をたてて一斉に落ち感動するらしいです。(仲野良典)
「あしひきの山桜花日並べて かく咲きたらばいと恋ひめやも」(山辺赤人:もしも山の桜が何日も咲いているのなら、こんなに恋しいとは思わないでしょうに)
「木蓮のゆらげる花の高さかな」(虚子) 「その母の子らかきおこす声きけば 白木蓮の咲きて夜明けちかきか」(北原白秋)