福知山教育ネット6周年のつどい 福知山の子どもと教育を考える会(福知山教育ネット)6周年のつどいが17日、福知山市内で開かれ、大平勳氏(立命館大学・橘大学非常勤講師)が講演。35人が熱心に聞き入りました。
 大平氏は冒頭、「教育委員会改悪法案」の成立などの教育情勢に触れ、「無理が通れば道理が引っ込む」というが、「我々の道理は絶対に引っ込めてはいけない」と際だつ安倍政権の暴走を強く批判しました。
 高校入試の変遷について、選挙のたびに「高校三原則」の是非が一大争点になり、府教委は三原則つぶしに7年を要し、「総合選抜崩し」として、II類の希望枠、専門学科、単位制、中高一貫、通学圏拡大、I・II類一括募集、特色選抜などを山城通学圏で先行し北部へと進め、最後に市内・乙訓地域へと実施してきたことを明らかにしました。その間、京都ならではの粘り強い府民の教育要求運動と抵抗があったことを自身の経験や取りくみにも触れながら紹介しました。
 また、今春の高校入試では、「前期選抜」で7112人(受験生の57.4%)と多数の不合格者を出し受験生に不安と混乱を招き、公立への信頼性を低下させたことや「中期選抜」で公立としての「セーフティネット」を壊し、収容率も58.9%(2011年度は64.2%)と低下したことを指摘。和歌山、静岡、埼玉など全国の動きも紹介しながら、2段階選抜は次年度から中止をと呼びかけました。
 地元の福知山高校では前期選抜で府平均2.34倍を大きく上回る6.25倍(昨年2.65)、逆に中期選抜では府平均1.16倍を下回る定員割れの0.88倍(昨年1.36)となるなど受験生にとって大きな不安をもたらしたと指摘。府教委が「医療を担う人材の育成」などとして来春北部初の中高一貫校の開設を(定員40人)予定していることに触れ、「北部のエリート校として『よい子』の早くからの囲い込みを狙ったものであり、学科の格差付けが進み、進路指導で市内の私学との関係の見直しが予想される。小学4年生から3年間の内申書が受験の要素になることから小学校にも矛盾が出る危険性がある」と告発しました。
 最後に、公教育は人間形成のためにあり人材養成ではないこと、地域に根ざした学校として再建する意味でも「定員の一定枠を地元優先で」の声を上げることを呼びかけました。大学に入ればバラ色だろうかと問い、現在の大学生の厳しい生活や就職実態にもとづき、みんなで人間らしく成長する場や「学びのサポート」をあらゆるところでつくるなど「連帯と共同を大切にした学校や社会を作ることの大切さ」を力説しました。
 交流では、2013年4月開設した福知山市学校給食センター(6700食)で働く職員が「子どもたちに美味しい給食を!そのための条件整備を」と訴え大きな拍手が送られました。また、7月末に「被災地(楢葉町)の児童受け入れサマーキャンプ」を準備している実行委員会から訴えがあり、成功のための協力を確認しました。(山本)