ネジバナ
新東高瀬川の堤防にネジバナの花がきれいに咲いています。ネジバナの名前は花序がねじれているのでねじばな(捻花:捩花)。捩れ模様に染めた織物の一つがネジバナによく似ているから異名に「捩摺(もじずり)」の名もあり、また「文字摺草」などともいわれています。
百人一首の「陸奥のしのぶもぢずり たれゆゑに乱れそめにし 我ならなくに(河原左大臣)」はよく知られています。学名をSpiranthes sinensis var.amoenaと言いますが、Spiranthesはギリシャ語の「螺旋状の花」、sinensisは中国、amoenaは好かれるとか愛されるの意味。
多年草で日当たりのよい堤防、野原や田圃の畦道に群生しています。原産地はアジアやオーストラリアで日本では雑草として扱われていますが、高貴なラン科の仲間です。小さな花をよく観察するとラン特有の凛としており、小さくて愛らしくてとてもきれいです。下の方から螺旋状の階段を登るようにピンクの花を咲かせていきます。ねじれているのは一方に偏ると茎が傾くからとかの説もありますが定かではありません。右巻、左巻両方あって、巻いていないのもあるらしいです。花期は短く10日間ぐらいです。(仲野良典)
「穂茅河原文字摺草をひらきけり」(富竹雨)