20140807-01.jpg 大きなオニユリそっくりなコオニユリが南丹市の園部城址附近に咲いています。オニユリもコオニユリも花だけを拡大写真にすると区別するのが難しいです。でも、全体を見ると、オニユリは葉っぱが出ている付け根に黒い珠芽(ムカゴ:シュガ)が付いています。花びらもよく観察すると、オニユリは蜜を出す小さな角状の突起がありますが、コオニユリはありません。専門書によると、オニユリの原産地の中国では種子を作って繁殖するようですが、日本のオニユリはほとんどが種子を付けないとのこと。日本では球根を食用にしたからで、種子に栄養をとられないようになったようです。
 さて、オニユリの英名はtiger lily。花が黄色で、点々模様が虎に似ているのでしょう。コオニユリの漢名・和名共に小鬼百合。とても美しい花ですが、鬼と言われるのは、小さな可憐なヒメユリ(姫百合)に対して粗大で花が反り返っているから鬼と言うのでしょうね。コオニユリは開花後、3㌢程の楕円形で乾果の果実がなるとのことです。日本全土の山地や朝鮮半島、中国に自生しているとのことです。しかし、日本ではだんだん少なくなってきており、石川県などでは準絶滅危惧種に選定され、採取はできません。オニユリと同じく球根(鱗茎)は苦みが少なくて食用になります。(仲野良典)【世界文化社刊『改訂新版 世界文化植物大図鑑 植物Ⅰ』他参照】
 「夏の野の繁みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものそ」(大伴坂上郎女)【岩波書店『新日本古典文学大系』より】