病院や買い物先へのマイカー送迎、食事会に映画鑑賞会…。日常のちょっとした困りごとに手を差しのべ、暮らしににぎわいを添える地域づくりを進めようと、挑戦している人たちがいます。京都市右京区の京北で展開する「NPO法人 京北のゆめプロジェクト」。「誰もが助け合って仲良く、安心して暮らせるまちに」をモットーにネットワークを広げています。
NPO京北のゆめプロジェクト話がはずむ、毎回盛況のお食事会

 市中心部から、車で約1時間。北山杉の磨き丸太の産地で有名な旧京北町(05年に京都市に編入)は、高齢化とともに、移動手段の確保は課題です。日に数便のバスでは補えない分を「車を運転できない人の外出のお手伝い」として動き出したのが同プロジェクトです。
 活動拠点となる「ゆめハウス」を周山にオープン(12年)して、マイカー送迎のほか、うたごえ喫茶や映画鑑賞会、お食事会など、サロンの場を設け、助け合って楽しく暮らすことをめざしています。会員は約230人。会員同士で通用する独自通貨「ゆめ券」を発行し、行事参加費や送迎の実費の代りに活用しています。マイカー送迎の利用は月に30回ほど。「助かる」と喜ばれています。

献立づくりは恋する気持ち

 「ゆめハウス」の人気企画は、お食事会。昨秋で1年を迎えました。料理人2人がそれぞれ腕をふるう月2回の会は毎回盛況です。「こんなごっつぉう(ごちそう)、どうやって作るん」、「『ゆめハウス』の映画会で、娘より先に人気の映画を見たのでうらやましがられたわ」など、おしゃべりに花が咲きます。
 料理人の一人、梅若玉子さん(75)は、“お料理は、恋をするのと同じ”との思いで、献立づくりを楽しんでいると言います。「特技や趣味といったみんながそれぞれ持っている力を引き出してくれる場。交流して知的な笑いが得られ、うれしい」と話します。
 11年の秋から、住民参加の連続講座を開いて、まちづくりを考えてきた同プロジェクト代表者の細見おさむさん(69)は、「地域の人たちが家族や友人のように助け合い、暮らしや地域社会の支えになることで、みんなの喜びや楽しみづくりを広げることにつながれば」と夢を膨らませています。(「週刊しんぶん京都民報」2015年1月11日付掲載)