厳冬に咲くコブクザクラ
府立植物園にはコブクザクラという品種の桜があります。春と秋から冬にかけて年に2回小さな花をつけます。写真は9日、厳冬の同園で撮影したコブクサクラ(子福桜)です。花後には1~3個くらいの丸い実を付けます。1つの花から子どもがたくさん生まれるので子福桜と呼ばれるようになりました。
中国原産のシナミザクラとジュウガクザクラとの交雑、シナミザクラとコヒガンザクラとの交雑やシナミザクラとエドコヒガンとの交雑種など諸説あるようです。
同園の公式ガイドブック『とっておき!名誉園長の植物園おもしろガイド』には同園の桜10選の記述があり、京都にゆかりの桜が紹介されています。最初に登場しているのがコブクザクラで、「4月下旬のキクザクラまで、ほぼ半年もの間咲いている」、「カラミザクラ(唐実桜)が中国原産の桜であることは、気根が出るのでまちがいない」と記されています。他にトウカイザクラ(東海桜)、ギオウジギジョザクラ(祇王寺祇女桜)やオオハラナギサザクラ(大原渚桜)など説明されています。
なおコブクザクラは同園の北西部の鉢植ゾーン手前にあります。豪華なソメイヨシノとちがって、花小さくまばらですが注意深く見つけるのもまた楽しいものです。(仲野良典)
見る人のなくて哀れや寒桜(陽春)
寒ざくら表面の恋と人もいへ 伴(ともな)りて散るもならなくに(与謝野晶子)