「危険な地下鉄駅ホームの安全対策が、一歩前進や」。―京都市営地下鉄烏丸線の烏丸御池駅(中京区)に転落防止用の可動式ホーム柵運用が先月から始まり、全駅に設置を求めて運動してきた障害者たちは、喜びの声を上げています。7年来の運動と日本共産党の100回を超える議会質問と討論、積極的提案が市の重い腰を動かしました。
地下鉄烏丸御池駅に転落防止柵市営地下鉄烏丸線の烏丸御池駅でホーム柵設置を喜ぶ「会」の(前列右端から)土田さん、宮川さんらと(後列右から)共産党の北山、蔵田両市議

 2012年に5000人分の署名を市に提出するなど、運動を進めてきたのは「全ての人に安全な駅ホーム設置を進める会」です。きっかけは、重度の脳性まひで電動いすを使うメンバーの土田五郎さん(59)が06年、烏丸線九条駅で転落したことから。市営地下鉄の東西線には転落防止用ホームドアがありますが、烏丸線にはないため毎年事故が発生。この年、4件の落下事故が起こりました。
 「これ以上放置できない」。参加する障害者団体「日本自立生活センター」(南区)の仲間と相談し、08年、他の障害者団体に呼びかけて「会」を発足しました。
 7年間、毎月1回取り組んできたターミナル駅での署名活動。「京都頸椎けいつい損傷者連絡会」とともに市への要請。烏丸線の全15駅の安全調査。「認知症の人と家族の会」などと一緒に開いたシンポジウム…。粘り強い運動に取り組んできました。
 京都府視覚障害者協会も、毎年の市への要望書の重点項目にホーム柵設置を掲げるなど、世論を背景に運動は広がりました。
 しかし、市は「ホーム柵のドア位置で電車を自動停止する装置が必要で、総額132億円がかかる。財政的に困難」と述べ、設置を拒否してきました。

全駅設置へ運動続ける

転落防止柵署名活動京阪三条駅前での「会」の署名活動

 流れを変えたのが日本共産党の議会論戦です。同党は1999年からこの問題を繰り返し追及。2011年10月の議会で、JR東西線北新地駅(大阪市)に同年3月、手動運転のままホーム柵が設置された事実を示し、調査を要求しました。市は研究すると答弁し、北新地駅方式にすれば1駅当たり3億3000万円程度の費用でできることが判明。同年12月の本会議で門川市長が設置を表明しました。来年度までに、四条、京都両駅に設置される計画(3駅の設置総額9億7000万円)ですが、全駅への設置は未定です。
 「会」では引き続き3000人分の署名を集めるなど、運動を続けています。代表の宮川泰三さん(57)は「転落防止はみんなの願いだ。全駅設置へ頑張りたい」と話しています。(「週刊しんぶん京都民報」2015年1月18日付掲載)