近代建築の新たな保存様式が必要 中川教授講演・まちづくり市民塾
日本を代表する近代の名建築、京都会館(京都市左京区)を京都市が解体したことを機に、京都の近代建築の保存のあり方が問われているもと、京都工芸繊維大学の中川理教授が23日、近代建築の保存の歴史と課題について、京都市中京区で講演しました。
京都・まちづくり市民会議が「まちづくり市民塾」として開催したもので、今回で5回目。中川氏は、同保存運動が、1960年代に相次いだ洋風建築の取り壊しを契機に、日本建築学会が「文化財に指定し保存することを求める」建議書を政府に提出したことから始まったことを紹介。その後、京都や金沢など70年代の町並み保存運動や世論を背景に、国は明治建築に限定して重要文化財に指定・保存してきたと述べ、「大正期以降の近代建築、中でも京都会館のようなコンクリートむき出しで装飾性のないモダニズム建築の場合の保存の目的・根拠が問われている」と強調しました。
そのうえで、「保存に際して、建物にまつわる人々の思いで、記憶・記念性を大事にし、形にすることも重要だ。新たな保存デザインが求められている」と訴えました。