春を呼ぶカラクサケマン
真冬の宇治川河川敷や土手には草花はほとんどありません。しかし、2月に入ると春を告げるように小さなカラクサケマンの花が土手や畑地に群生しだします。写真は伏見の観月橋付近の土手に群生して花を咲かせ出したカラクサケマンです。
カラクサケマンはヨーロッパ原産の帰化植物。ヨーロッパ、アフリカ、西アジア、オセアニア、南北アメリカと世界の大陸の温帯から亜寒帯に広まっています。日本では明治末期、北海道札幌最初に確認された帰化植物です。
1年草で、茎の高さは10センチ~30センチほど。枝は分枝し、葉っぱは互生で3回羽状に裂けています。花は薄い紅色か白で先に濃い紫色が総状(写真参照)に集まっています。
ケシ科で和名をカラクサケマン(唐草)と言います。華鬘は仏前を荘厳にするために内陣の欄間などに架ける装飾品によく似ていることろから命名。また、同じ仏間の装飾品に見立てられた草花にケマンソウ(華鬘草)があります。この草もケシ科で華がたくさん並んで垂れ下がっており、別名タイツリソウ(鯛釣り草)とも言われています。ケマンのつく名前のケシ科の仲間にはムラキケマン、ホザキキケマン、ツルキケマンやキケマンの他たくさんありあります。
ケマンの仲間達は背が低く、花も地味で余り目立たず、一瞥もされない雑草たちですが、まだまだ寒風吹きつける河川に頑張って春を呼ぶように咲いているかわいい花たちです。(仲野良典)
参考=『原色日本帰化植物図鑑』保育社ほか