税金の使い方おかしい 宇治市「太閤堤跡」歴史公園に80億円
金があるなら住民の安全を
史跡は、豊臣秀吉による治水工事跡で、2007年に発見されたもの。
整備計画案は、史跡の保存とともに、当時の宇治川河畔の光景を再現したゾーンや宇治の歴史と宇治茶を発信するミュージアム・レストラン、研修室を一体的に建設する内容。市は事業費の内、約40億円を負担し、公園・施設の維持管理費に年間約1億6000万円を見込んでいます。今年度中の着工予定で、2019年度の開業を目指しています。
80億円もの公園整備事業に市民から疑問の声が上がります。建設予定地に隣接する莵道丸山地域では、昨年、一昨年と連続して台風・豪雨で浸水被害が発生しました。床下浸水で被災したという男性は、「歴史や宇治茶の魅力を発信する意義は分かるが、住民の安全確保が前提ではないか。こんなお金があるなら、一刻も早く排水機能の強化をしてほしい」と話します。
また、所得300万円の4人世帯(介護保険対象2人)で約39万円と府内トップレベルの高過ぎる国保料の問題も放置しています。公園整備事業に巨額の税金を投じる一方で、新年度の国保料は据え置き方針です。同市の国保会計は6年連続黒字で、この間毎年2億円以上を基金に積み立てています。
日本共産党「根本から見直しを」
夫婦2人世帯で年間約20万円の国保料という田川勲さん(69)=仮名=は現在、保険料全額が払えないため分納しています。わずかな年金と長女の仕送りが生活を支えているといい、「赤字の時は保険料をどんどん引き上げていたのに。市民にこれだけ辛い思いをさせながら、黒字でも引き下げない、公園整備には何十億円も使うとはどういうことなのか」と憤ります。
2日に行われた市議会3月定例会一般質問で、日本共産党の水谷修議員は、中学校給食の実施や老朽校舎の改善、地域の集会所の耐震改修、子どもの医療費無料化拡充など市民の要求にこたえていない現状を批判し、「歴史公園整備事業は税金の使い道の優先順位が間違っている。根本から見直すべき」と迫りました。
「医療と国保をよくする会」の平本克行会長は、「市民の負担軽減のために、会計の黒字分とさらに一般会計からの繰り入れで保険料を引き下げるべき。これほどのお金があってなぜやってくれないのか」と話しています。(「週刊しんぶん京都民報」2015年3月15日付掲載)