元同僚が語る本田さん 「平和希求する強い信念の持ち主」牧野映子さん
本田さんとの一番の思い出は、1993年に北区の小学校で取り組んだ平和教育です。
これまで小学2年生の国語の教科書に掲載されていた童話『かわいそうなぞう』が、載らなくなりました。太平洋戦争中に上野動物園でゾウが殺処分を受けた話を基にしたもので、子どもたちに戦争の悲惨さを分かりやすく教える大事な教材でした。
「平和の大切さを今年も子どもたちに教えたい」。私より2つ年上、2年生の担任で学年主任だった本田さんの発案がきっかけで、私たち4人の担任が相談。授業に『かわいそうなぞう』を取り入れ、秋の学習発表会で合唱構成劇『ぞうれっしゃがやってきた』を子どもたちと保護者が一緒に発表してもらうことにしました。指導計画書を作成し、校長先生の許可をもらい準備を進めました。
ところが取り組みを始めると、ある保護者から「教科書に載っていない話をなぜ教えるのか」とのクレームが入りました。校長先生は私たちがどんなことを教えたのか、子どもたちの反応はどうだったのか、見守るとともに報告を求めました。市教育委員会からの指導だったのでしょう。
当時の教育長は、その後市長になった桝本頼兼氏でした。教師への管理強化の一方で、平和教育は後景に追いやられ、広島への修学旅行を中止する学校が増えていきました。本田さんの強い意志と学年の先生方の結束力がなかったら、やり通すことはできなかったでしょう。取り組みは大成功に終わりました。
「教え子を再び戦場に送らない」ために何をすべきなのか。本田さんは明確でした。
今、国全体が右傾化しようとしている時、立候補に当たり戦争法に命がけで反対すると宣言しました。平和の教育実践を共にした者として、本田さんは必ずその言葉を実行してくれると確信しています。時流におもねらず、子ども第一に信念を貫く人。市長に最適です。(「週刊しんぶん京都民報」2015年11月8日付より)
(写真下=合唱曲の当時の楽譜を持つ牧野さん)