20160422-01

 自民党の二之湯智参院議員(京都選挙区)が代表を務める政治団体が政治資金収支報告書で虚偽の記載をしたなどとして、市民団体「政治資金オンブズマン」(大阪市)が3月30日、政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)の疑いで京都地検に同議員らに対する告発状を送付しました。同会共同代表の上脇博之・神戸学院大学法学部教授(憲法学)に告発内容と、二之湯氏の「政治とカネ」問題について聞きました。

■3つの“サイフ”使い分け/「企業献金」「政党助成」二重取りも

 二之湯氏は2つの政党支部「自民党府参院第三選挙区支部」「自民党府大都市政策推進支部」と、資金管理団体「新政経懇話会」の代表を務めています。

 この3団体間で2014年に3件、12年に1件の計610万円以上が政治資金収支報告書に虚偽・不記載されているとして告発しました。「出所不明」の闇金・裏金があったと言わざるを得ません。

 また10年の収支報告書でも「第三支部」と「大都市」、「二之湯さとし後援会」(代表:森春夫)の間で、2件、計460万円の虚偽記載(時効)が分かりました。デタラメな収支報告が恒常的に行われていることを裏付けており、全体で1070万円となります。

 政党助成金や党交付金は主に「第三支部」で受け取り、企業献金を最も集めているのは「大都市」で、個人献金は主に「新政経」で集めるなど、〝3つのサイフ〟を使い分け、資金集めを行っています。

 94年の「政治改革」で、95年から税金を原資とした政党助成金を導入しましたが、企業・団体献金は温存され、禁止されないままです。政党助成金の半分以上を受け取ってきた自民党は国民からますます乖離(かいり)し、財界による「買収」が進み、金権腐敗事件は絶えません。二之湯氏のように2つの政党支部で企業献金を集め、政党助成金を受け取っていては、庶民の生活苦がわかるはずがありません。

 私は弁護士らとともに「安保関連法賛成議員の落選運動を支援する・弁護士・研究者の会」を立ち上げました。安保法制に賛成した議員は、立憲主義に反し、国会議員失格です。会として、二之湯氏のほか大臣の島尻安伊子参院議員や前経済再生大臣の甘利明衆院議員など10人を「政治とカネ」をめぐる問題で刑事告発しました(12日現在)。今後も落選運動を展開し、各地の落選運動の支援を行い、安保法制廃止まで運動し続けたいと思っています。

■二之湯参院議員の政治資金虚偽記載
160417虚偽記載

■二之湯参院議員の関連支部・団体の献金内訳(単位:万円)
160417献金内訳

(写真=二之湯議員が事務所を置く京都市右京区のビル)
(「週刊しんぶん京都民報」4月17日付より)