20160715-00120160715-002 米外資系企業「FS Japan Project6合同会社」(笠松純・代表社員、東京都千代田区)がメガソーラー建設を進めようとしている南山城村の計画地近くで、京都府が絶滅寸前種と定めたナゴヤダルマガエルが生息していることがこのほどわかりました。

 ナゴヤダルマガエルは、東海地方から中国地方に分布。形状はトノサマガエルに似ており、背中の斑紋がつながらず、後足が短いことが特徴です。乾地でも生息できるトノサマガエルと違って、水田、湿地など水辺でしか生息できず、開発やほ場整備などで激減しています。

 京都府は「京都府に置いて絶滅の危機にひんしている種」として最もランクの高い「絶滅寸前種」に分類。条例で保全に向け捕獲が禁じられ、知事が生息地を保全地区に定めた場合、開発行為が規制される「指定希少野生生物」25種のうちの1種に指定しています。

 生息地はメガソーラー予定地の間を流れる中谷川流域。環境省希少野生動植物保存推進委員をつとめる井上龍一・奈良教育大学附属小学校教諭らが約30年前に行った調査で、1000個体が生息する貴重なフィールドであることがわかっています。日本爬虫両棲(はちゅうりょうせい)類学会評議員の松井正文京都大学名誉教授も現地を訪れ、生息を確認しました。

 その後、小学校建設にともなう造成やほ場整備などで個体数が減少したものの、昨年も日本爬虫両棲類学会会員の中川宗孝氏が生息を確認しています。

■環境悪化を懸念
松井正文・京大名誉教授の話 南山城村はかつてナゴヤダルマガエルの京都府南部で有数の生息地だったが、その地が開発され、生息環境が壊滅的打撃を受けたことに憤りを覚えた。生き残っているダルマガエルの環境に、メガソーラーの開発が悪影響をおよぼすことが懸念される。現地の人々が状況の変化を注視して欲しい。

(写真上=2001年5月、予定地近くで撮影されたナゴヤダルマガエル、写真下=奈良で確認されたナゴヤダルマガエル 〔いずれも井上龍一氏撮影〕)

(週刊しんぶん京都民報7月10日付より)