20161013-001  福島第一原発事故以後、福島をテーマに作品を制作し続けている画家の山下二美子さん(日本美術会会員、奈良市在住)の個展が23日まで、ギャラリーかもがわ(京都市上京区)で開かれています。

 「被災した福島と私の故郷の記憶がどこか重なるんです」と語る山下さんの故郷は広島との県境、島根県飯石郡飯南町。広島に原爆が投下され、隣家に避難してきた夫婦がすぐに亡くなった4歳の時の記憶が、原発事故の報道とともによみがえりました。

 「放射能の恐ろしさを表現しなければ」と毎年、幅3㍍ほどの大作をアクリル画で制作してきました。
 事故後初めて描いたのが「氷輪・風下の地」(2012年、180✕321㌢)。全体に銀箔をあしらったキャンバスに、壊れた建屋、月、猫、死んだ牛の骨などを描いています。黒を基調に薄く浮かびあがるブルーが被ばくの恐ろしさをにじませます。

 2013年には、放射能汚染で住めなくなった飯舘村の集落と、過疎化で人が住まなくなった故郷を重ね合わせた「眠る村・風下の池」(130✕321㌢)、今年は、銀箔に水墨画のように風を、白の絵の具で牛の骨、少女の帽子などを描いた「誰が風を汚したのか」(130✕318㌢)を制作。

 個展では大作5点のほか、古材や新聞記事などで作ったオブジェなど27点が展示されています。

 正午~午後6時(最終日5時まで)。火曜休廊。無料。問い合わせ☎075・432・3558(同ギャラリー)。