5月18日は「国際博物館の日」(*)。この機会に、趣味や研究を通じたコレクションを公開している、京都府内の私設博物館を紹介します。行楽シーズンを迎えるなか、親子で、または気の合う仲間を誘って、出かけてみませんか。

■教会だけど・・・180種800匹の生き物がお出迎え

 「花園教会水族館」は、その名のとおり、花園キリスト教会にある淡水魚がメーンの水族館。生き物にさわることができ、しかも入場無料とあって、地域の人気スポットです。

 世界最大級の淡水魚ピラルク、ピラニアや電気ナマズなどが大小さまざな水槽で遊泳。世界一小さな陸ガメや凶暴なカミツキガメ、オレンジ色のフトアゴヒゲトカゲにハリネズミ・・・、実に約180種、800匹の生き物が出迎えてくれます。

 生態を学んで飼育し、解説も担当するのは、同教会の篠澤俊一郎牧師(37)。ゲーム会社に務めた経験も生かし、スマホを使って魚の解説や画像を取り込むなど、楽しみながら学べる工夫が満載です。

 しかし、なぜ、教会に? 篠澤さんが、広沢池で娘と釣ったザリガニ、魚を水槽に入れて教会の玄関に置いたのが始まりです。「生きた魚を初めて見た」という少年の一言に、「都市部の子どもの貧困を感じて」と。

 東南アジアの貧困対策、3・11の大震災では、被災地復興と子どもの学習支援活動に取り組んできた篠澤さん。子どもの貧困問題を念頭に、「居場所になれば」と考えました。

 信者さんの協力も得て、〝無料〟の水族館を14年12月に公開。施設の耐震面から存続が危ぶまれましたが、クラウドファンディングと子どもたちの街頭宣伝で費用を得て、教会のガレージ(60畳)に昨年10月、リニューアルオープンしました。

 だれでも気軽に立ち寄れる水族館=「居場所」から見えてくる子どもの境遇に寄り添い、学び、遊ぶ「子ども会」活動も展開中です。
 篠澤さんは、水族館を「子どもが五感で感じ、また、夢を持つことができるような場にしていきたい」と話しています。

 開館=土・日曜、14~17時(平日は予約制)。5月4日(木・祝)と6日(土)休館。無料。京都市右京区太秦安井辻ノ内町10―1。☎075・812・1177。

(*)国際博物館の日 博物館が社会に果たす役割を広く普及啓発することを目的に、ICOM(世界の博物館関係者で組織される国際博物館会議)が1977年に制定。

(写真=館内で肩にフトアゴヒゲトカゲを乗せ、カメを手にする篠澤さん)

(「週刊京都民報」5月7日付より)