京都市美術館・野外彫刻の切断工事を強行 作者の同意なく 市民団体ら連日抗議行動
京都市美術館(京都市左京区)の再整備工事に伴い、移設と保存方法が問題となってきた野外彫刻モニュメント「空にかける階段’88-Ⅱ」について、市は8日から作者の同意のないまま、作品を根元から切断する工事を始めました。市民団体や作者の代理人らは8、9の両日、工事現場前で抗議行動を行い、「収蔵品は市民の財産」「工事は直ちに中止を」と訴えています。
この問題では、作者の彫刻家・富樫実さん側と市との間で7月21日、「可能な限り現状を維持する」ことで確認書を交わし、撤去後に現在地で再展示する方向で合意していました。しかし、市からは撤去後の展示方法についての具体的提案はなく、撤去工事だけを先行してきました。
また、撤去方法についても、作者側は、作品の現状を維持するために、基壇と基礎の地中部分(1・4㍍)も一体で掘り出すよう求めましたが、市は安全性などを口実に、基壇より上の地上部分を切断することを主張。工事前日の7日に両者の話し合いが行われましたが、作者側は同意しませんでした。
8日の抗議行動には、作者の代理人の貴志カスケさんをはじめ、「市美術館問題を考える会」のメンバーや日本共産党の蔵田共子、河合葉子両京都市議ら15人が参加。貴志さんは、「富樫さんは、この作品の形や11㍍の高さに深い思い入れがある。作品を傷つける行為は断じて認められない」と述べ、市が確認書を履行するよう求めました。
切断工事は10日まで行われる予定で、貴志さんや「会」のメンバーは、抗議活動を続けるとしています。
(写真上=地中部分を残して根元から切断され、クレーンで吊り下げられる野外彫刻、写真下=工事現場まで抗議する貴志さんや「考える会」のメンバー、蔵田、河合両京都市議ら)