“共存共栄できるのか” 社会人劇団「シアターリミテ」新作上演『DO・P・PU・N』/23日~25日、左京区・人間座スタジオ
■貧困、過疎・・・揺れる原発のまち
福島第1原発事故から7年目を前に、京都で活動する社会人劇団シアターリミテ(主宰・三ノ丸和洋)は、原発再稼働や地方と東京との経済格差などを問う新作『DO・P・PU・N(ドップン)』を2月23日から25日まで京都市左京区の人間座スタジオで上演します。
物語は、原発が立地する北関東の架空の田舎町が舞台。町は、北の都市で起きた原発事故後、老朽原発の運転再開を目前に控え、再稼働と廃炉の間で揺れていました。借金の返済を迫るために別れた妻を追いかけて東京から男がやってきますが、妻は発電所で働きながら市民運動に関わる自称インド人の男と付き合っていました。復縁の余地を探る男。そんな時、発電所で大型クレーンの転倒事故が起き、〝インド人〟の素性が暴かれます。
■原発事故7年目の現状問う
主宰の三ノ丸さん(49)は、福島原発事故の際、実家(茨城県水戸市)が原発のある同県東海村から30㌔圏内だったため、他人事と思えませんでした。
12年から、ボランティアとして南相馬市に入り、昨年3月には福島県浪江町を取材して原発事故後、商品価値のなくなった牛たちを育てる酪農家を題材にした作品を上演。
政府が原発再稼働を進めていくもとで、福井県高浜町音海地区は16年12月、高浜原発の運転延長に反対する意見書を関電に提出し、昨年12月、広島高裁は、再稼働した伊方原発3号機の運転差し止めを命じるなど、原発との〝共存共栄〟を見直す動きを機敏に捉え、今作を書き上げました。
作品には、東京が繁栄する影で、原発立地地域では過疎化が進み自治体職員の給与さえ払えず原発を誘致せざるを得なかった歴史や、原発依存への疑問が持ち上がる一方、暮らしの貧しさから原発の恐ろしさと正面に向き合えない住民の心情も丁寧に描いています。
23日19時、24日12時・17時、25日12時。2500円(前売り2000円)。劇団制作☎090・3615・3934。
(写真=北関東のとあるスナックでの場面〔稽古場面〕)
(「週刊京都民報」2月11日付より)