「伴侶を失くした悲しみを乗り越え、一歩足を踏み出そう」――。そんな思いを集めて、妻や夫に先立たれた人たちが10日、共に励ましながら、残りの人生を前向きに生きていこうと呼びかける「腑抜けNO会」を立ち上げ、京都市内で結成総会を開きました。

 発足の中心となったのは、20年間自宅で認知症の妻を介護し、一昨年に亡くした富田秀信さん=南区=です。旅行代理店に勤めながら、毎日介護や家事をしてきたあわただしい生活は、妻の死で一変。一人暮らしの孤独やパートナーを失った悲しみを痛感したと話します。「同じ仲間同士、残りの人生をどう生きるのか、考える場ができないか」。伴侶を亡くした仲間に呼びかけました。

 発足式には、約40人の当事者が参加。自身も夫を21年前に亡くし、3年間「腑抜け」だったという食育アドバイザーの真田滋子さんが、一人暮らしの食生活改善の方策について講演。佛教大教授の原田敬一代表のあいさつに続き、参加者は食事をしながら交流しました。

 10カ月前に夫を亡くし、「悲しみが癒えていない」と話す女性(69)は「参加するか悩みました。でも、同じ境遇の人に思いを聞いてもらい、心が癒されました。来てよかった」と涙ぐみました。

 城陽市から来た女性(68)は「7年前に夫を亡くして、息子夫婦や孫と住んでるけど、夫のいないさびしさは変わりません。みなさんの話を聞いて、前向きに生きてみたいと思えるようになりました」と笑顔がこぼれました。

 会では今後、月に1回勉強会を開催。専門家による健康や年金のアドバイスを受けたり、趣味を広げる場や、ボランティアに参加するなどのきっかけを提供する計画です。

■次回は「お一人様の料理教室」

 次回は、「お一人様の料理教室」(午前は調理、午後は食事会)。3月10日(土)午前10時半~午後2時まで、中京いきいき活動センター(中京区西大路三条東入る2本目上がる)。調理講師は、真田滋子さん、松井信也さん。会費・食材費500円。問い合わせ☎090・3671・4543(富田)。