公共交通機関はJR奈良線しかない井手町で、バスなどの運行実現に向けた運動が起こっています。住民は3月2日、「井手町内にバスを走らせてほしい住民の会」(田中米造・世話人代表)を再結成。汐見明男町長宛ての署名活動に取り組み、現在、490人分(12日現在)が集まっています。

 同町は南北に流れる木津川の東側に位置し、同川沿いの平野部に住宅地が広がっています。路線バスは奈良交通が奈良―京都間を木津川に沿って走る国道24号で運行していましたが、2004年に廃止。

 病院や商業施設が集積する同川西側の京田辺市に公共交通で行く場合▽奈良線で南下して木津駅経由でJR学研都市線に乗り換え、北上▽奈良線(玉水駅・山城多賀駅)を北上して宇治市(新田駅)に行き、近鉄(大久保駅)に乗り換え南下▽北隣の城陽市を東西に走る国道307号で便数の少ない京阪バスに乗車―するしかありません。

 住民は2006年、「住民の会」を結成。住民請願運動などを行ってきましたが、役員の高齢化などにより運動が休止していました。

 その後、近隣自治体でコミュニティーバスが運行し、町役場が約数㌔離れた東側の丘陵部に移転する計画も浮上するなか、交通手段確保に向けた要望が再び高まりました。

 同会の世話人には16人が名前を連ねています。要望書では▽井手町─近鉄新田辺駅・三山木駅間のバス運行▽町内の公共施設・商店を結ぶバス運行▽運行形態やルート、料金などを調査・検討する機関設置―を求めています。3月9日には新聞各紙に署名用紙付ビラを折り込みました。

 同会世話人で事務局の松島繁行さん(70)は「町長になかなか意見しにくい雰囲気が残る土地柄にも関わらず、住民の方が率先して署名を集めてくれており、要望の高さを実感している」と話します。