「ともに生きる ともに創る 夢ある未来へ 京都から」―きょうされん(障害のある人たちの仕事や暮らしを応援する事業所の全国組織)の第41回全国大会が9月、京都で開催されます。障害のある、なしにかかわらず、だれもが安心して暮らせる社会はみんなの願い。障害者の自立や就労を支援する事業の一環として、コミュニティーの拠点になる「カフェ」が増えています。今回は、きょうされん京都支部の加盟事業所のなかから4店舗を紹介します。それぞれに個性あふれる「カフェ」に出かけてみませんか?

 耳が聞こえない人が安心して利用でき、聴覚障がい者と関わる機会のない人も交流できるカフェとして、2015年6月、城陽市の京都府聴覚言語障害センター1階にオープンしました。卵と生クリームを使って作るフランスの郷土料理「キッシュ」、野菜カレーなどのランチメニュー(650円)や、ケーキセットを楽しめます。

絵本も充実、子連れOK

 店内は、600冊の絵本をそろえ、子ども連れで楽しめるコーナーもあり、障がい者の作った陶器やアクセサリーなどの販売施設とも隣接。耳や目に障害を持つ人もスタッフとして働き、厨房での調理、コックシャツのアイロンかけを担っています。

 調理場で驚かされるのは、「盲ろうシェフ」を自称する、聴覚と視覚の重複障害をもつ林和男さん(69)の活躍。「京都盲ろう者ほほえみの会」の会長を務め、「盲ろうシェフは、全国で1人、いや、世界にもいないよ」と胸を張ります。

 包丁を手に、野菜をリズミカルにカットしてカレー作り。タマネギをあめ色に炒めたり、オムライスのソースも仕上げます。仕上がり具合は、「手に伝わる重みで判断する」と言い、実に正確です。

 電化製品の製造の仕事に就き、50代で完全に視力を喪失。仕事を探し、同カフェのオープン当初は皿洗いでした。フレンチコックの経験がある同センター施設第一福祉部の池原正信部長は、林さんの上達を、「勘がとても優れていて、技術の習得が早い」と評します。

「おいしい」が仕事の励みに

 「仕事は真面目だけではだめ。楽しみながら」がモットーの林さん。手に触れて手話の形を認識する「触手話」によるコミュニケーションで、冗談を言いながら周りを和ませるムードメーカーです。「おいしいと言ってもらえるのが励み。家族、お友だちを誘って、ぜひお越しください」とピーアールします。
 同センターでは、老化による難聴の相談、支援も行っています。

 【店舗情報】 城陽市寺田林ノ口11―64(JR城陽駅から徒歩3分)☎0774・30・9001。営業時間10時半~15時(入店14時半)。定休日=土・日・月・祝。

(写真上=手話でコミュニケーションを図り、調理するスタッフら。左端が林さん、写真下=季節の野菜が楽しめる手作りカレー)

(「週刊京都民報」4月22日付より)