音楽の力に救われた ウクレレで初ライブ、9日・ミュージックサロンYOSHIKAWA/脳出血で半身まひ、山科区・田畑卓之さん
脳出血で左半身がまひした後遺症を克服しようとウクレレを始めた、京都市山科区の元そば店主の男性が、新たな仲間との出会いからリハビリを兼ねた練習を重ね、初のライブで披露するまでに回復しました。9月9日、同区のライブハウスで演奏します。
そば店「喬岳」の店主だった田畑卓之さん(57)は、4年前に自宅で倒れました。3カ月後に、店を再開しましたが、揚げ物が以前のようにできなかったり、予約の電話を忘れるなど、営業を断念せざるを得ませんでした。
知り合いと訪れた近所の古民家音楽バー「YOSHIKAWA」で、マスターの吉川学さん(63)から、「ギターより弦が少ないし、小さいから」とリハビリにウクレレを勧められました。
■リハビリ兼ね3年半かけて
楽器は苦手で、中学校でのリコーダー以来、演奏したことはありません。後遺症で「(手に)グローブをはめているような感じ」でした。朝起きたら、寝たままで弾くことから練習を始め、だんだん音がつながり、曲になると、楽しくなって来たと言います。3年半でレパートリーは40曲にまで広がりました。吉川さんは「すごい努力家。やり遂げたいという気持ちが強い」と評します。
作詞も手掛けるようになり、店の常連客と10曲を作り、山科の風景を歌った「ホタルの川」は米原市民音楽祭で入賞、「山科疏水 菜の花桜」は昨年6月の府大衆音楽祭のオリジナル曲部門で優勝しました。
初ライブでは、「ひまわり」「第三の男」など、映画音楽を中心に10曲を演奏予定。田畑さんは「仲間の激励があって、弾くことが楽しくなり、指も動くようになった。音楽に救われた。同じような障害に苦しんでいる人にも、楽しいという動機付けからリハビリをする喜びを知ってほしい」と話しています。
「ウクレレdeシネマ」は9月9日午後7時、ミュージックサロンYOSHIKAWA(山科区椥辻中在家町12─1 ☎075・581・0248)。500円(1ドリンク)。
(写真=ウクレレ初ライブの打ち合わせをする田畑さん〔中央〕ら)