米軍関係者による事故で破損した電柱(昨年7月27日、京丹後市峰山町)
米軍レーダー基地前で抗議する、「憂う会」の永井友昭さん(「憂う会」提供)

“約束違反”常態化、基地撤去こそ

 防衛省が「速やかに公表する」としていた、京丹後市の米軍レーダー基地に所属する米軍関係者による交通事故について、昨年2月4日から1年以上にわたり米側から確認が取れず、公表されない事態が続いています。こうした状況のもと、少なくとも1件の事故が未公表となっています。2014年2月から確認が取れなくなるまで、米軍関係者による交通事故は合計59件発生しています。

 これまで、防衛省は米軍関係者による交通事故については市や府に「速やかに連絡する」としており、米軍、同省、住民、市などが参加する「安全・安心対策連絡会」において文書で概要を報告してきました。

 しかし、昨年2月以降、同省が要望しても、米側からの情報提供が行われない状態が続いています。米側からの情報提供は、昨年2月4日の物損事故が最後となっています。

 こうしたもと、昨年7月27日に同市峰山町菅で発生した米軍関係者による電柱の破損事故について、約7カ月が経過した現在も公表されていません。同省は、「米側に照会中」であるが回答がないため、自治体などへの情報提供を行っていないとしています。

 「憂う会」基地前で抗議行動/住民憤り「米軍の本性あらわ」

 この事態に対し、基地周辺の住民でつくる「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」は7日、同基地前で「司令官殿  事故の情報を開示されたし! 約束ですよ!」と英語と日本語で書かれたプラカードを掲げて抗議しました。

 抗議に参加した同会の三野広海さんは、「現司令官が23日に交代すると聞いており、交代前に約束を果たすよう求めたい。この問題では、住民に対する米軍の約束は守られる保証がないという本質的な問題が浮き彫りとなっている」と語ります。

 7月の事故については、昨年11月に開かれた同連絡会で、住民からは「照会に対する回答はいつ頃得られるのか」と防衛省をただす声が上がっています。また、府は10月2日に同省に対し、文書で抗議し、情報提供を申し入れています。

 日本共産党の田中邦生市議団長は、「米軍の態度は見過ごせない重大な事態だ。また、公表されていない事故が他にも起きていないかも不明だ。米軍による約束違反が相次いでおり、基地配備の前提とされる『住民の安全安心の確保』は明らかに守られていない。安全保障に対する立場を超えて、『安全・安心の確保』が担保されない基地は撤去すべきの声を上げていきたい」と話しています。