米海兵隊のオスプレイから降りて、「敵地」強襲作戦演習を行う自衛隊員(5日、滋賀県高島市)

「専守防衛」どこに、陸自隊員が「敵地」強襲・制圧/市街地戦闘訓練も

 米国とともに「戦争する国」づくりを進める安倍政権のもと、府内で米軍と自衛隊との一体化が急速に進んでいます。陸上自衛隊福知山駐屯地の第7普通科連隊は2月4日から同15日まで実施された、滋賀県・饗庭野(あいばの)演習場での日米共同実動訓練(フォレストライト02)に参加。米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイに乗り込み、米海兵隊とともに、敵陣地への侵入作戦を訓練しました。

 「バリバリバリバリ」―とうなりを上げ、砂や草を吹き飛ばしながらオスプレイが降下。陸自福知山駐屯地の自衛隊員らが駆け下り、米海兵隊員とともに「敵地」を強襲し、制圧する―陸自饗庭野演習場で5日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属のオスプレイ2機が隊員輸送をする様子が報道陣に公開されました。

 オスプレイは、駐機先の陸自明野駐屯地(三重県伊勢市)から飛来。先乗りした米海兵隊員とともに、小銃・機関銃、対戦車誘導弾などを抱えた重装備の陸自隊員らが、草木が茂る演習地内を駆け巡りました。

 海兵隊員と自衛隊員の武器や装備などの見た目はほぼ同じで、ともに整列すると同じ「軍隊」にしか見えません。自衛隊員の通訳を介しながら何度も話し合う様子が見られ、「日米一体化」を印象づけました。

海兵隊員(左端など)とともに建物に突入する自衛隊員ら(8日)

 8日の市街地戦闘訓練には、陸自と米海兵隊の隊員約100人が参加。レストランや銀行を模したコンクリートのビルに敵が潜んでいる想定で実施されました。

 銃を手にした隊員らは海兵隊員とともに小走りで建物周辺を移動。銃を撃ち(空砲)ながら建物内に突入し、建物を一棟ずつ制圧する演習を行いました。また74式戦車2台も参加して隊員を援護。負傷した隊員の救護活動なども行われました。

 陸自によると、米海兵隊はアフガニスタンやイラクで数十年にわたり市街地戦闘訓練をしてきた実績があり、共同訓練で自衛隊員の能力の向上を図るとしています。

 陸自第3師団公報によると、福知山駐屯地の隊員約600人が参加し、米海兵隊員(沖縄県のキャンプシュワブとキャンプハンセン所属)は約340人が参加しました。

銃を構えて建物に突入する自衛隊員ら(8日)

「沖縄の負担軽減」は口実/京都平和委員会理事長・片岡明さん

 今回の饗庭野での演習では、陸自福知山駐屯地の部隊がオスプレイに乗り込み、海兵隊とともに敵基地を強襲する想定の演習を行いました。府内の自衛隊が米軍との一体化をさらに進めています。
 これは安倍政権が2015年に強行した安保法制(戦争法)のもと、米国が海外で行う戦争に自衛隊員が派遣され、ともに戦闘するための訓練です。防衛省は、「沖縄の基地負担軽減のため」などとしていますが、米軍の要請に応じた訓練であり、負担軽減ではありません。
 15年に改定された「日米防衛協力のための指針」(日米ガイドライン)のもと、日米共同作戦体制や作戦計画づくりが進められ、米軍と自衛隊の共同演習が繰り返されています。
 また昨年10月、米軍は神奈川県の相模補給廠に新たな防空作戦司令部を発足させ、京丹後市の米軍レーダー基地が指揮下に入りました。部隊や装備の増強も予想され、京丹後市基地など国内のレーダーと韓国のレーダーを結び、日米韓で米国本土を防衛するためのミサイル防衛体制です。
 歴史的な米朝会談が昨年行われるなど、東アジアの非核化の展望が生まれ、朝鮮半島の軍事境界線はいまや観光地となっている情勢です。平和憲法をもつ日本が非核化の先頭に立ち、平和構築をすすめるべきです。安倍政権による憲法9条改悪をストップさせ、戦争法を廃止するために全力を上げたいと思います。