審査請求書を府に手渡す中島弁護士(右)ら

 米外資系「FS Japan Project6合同会社」が南山城村で進めようとしているメガソーラー建設計画について、京都府知事が林地開発(森林法)と砂防指定地内開発行為(砂防法)の許可を下ろしたことについて、南山城村の住民ら約460人が4月22日、2016年改正の行政不服審査法に基づく処分の取り消しを求める不服審査請求と、処分の執行停止を府に申し立てました。改正された同法に基づく開発・環境問題での本格的な行政不服審査請求運動は京都で初めて。

 林地開発については、同計画が、森林法第10条の2第2項で禁じている▽森林の災害防止▽環境の保全―の機能を著しく悪化させるものと指摘しています。

 砂防指定地内開発行為については、渓流の盛り土や、流路の変更をともなう今回の計画は、治水上砂防のために禁止し、制限する行為を定める砂防法施行規則第3条に基づいて、京都府が定めた「京都府砂防指定地内行為審査技術基準」に違反するもので、認められないとしています。

 約1週間の取り組みにも関わらず、林地開発については462人、砂防指定地内行為については460人が請求人(約370人が村民)に名を連ねました。請求人は、中島晃、飯田昭、分部りか、森田浩輔の4弁護士を弁護団とする代理人に業務の委任します。

 今後、林地開発については、府庁内、砂防指定地内行為については、国土交通省内に新設する第三者機関・行政不服審査会に諮問され、審査されることになります。

 弁護団は、両行政不服審査会での口頭陳述の機会を求めています。

「開発ありき」は沖縄と同じ

 申し立てにあたって住民は「災害を誘発する可能性があるのに、審査技術基準に禁じられていることを府は簡単に認めてしまった。納得できない。計画の見直しをすべき」「村は住民を無視し、業者の立場で開発を推進してきた。許せない」「許可が出ないはずの開発計画にも関わらず、業者、地主、一部行政のやりとりの中で覆されていった。住民が納得しないまま、開発ありきで進められる状況は、沖縄の新基地建設など日本中に多数ある」などと話しました。