©2019映画『ニジノキセキ』製作委員会

 安倍政権が朝鮮学校を高校無償化の適用から除外した(2013年)ことに対し、「人権侵害だ」と支援の輪が広がっていますが、朝鮮学校の歴史と現状を紹介するドキュメンタリー映画『ニジノキセキ』が15日から、京都市下京区の京都シネマで公開されます。戦後、日本政府が発令した朝鮮人学校閉鎖令を撤回させた1948年の「4・24(サイサ)阪神教育闘争」にスポットをあて、在日朝鮮の人たちが過去を学び、前向きに歩む姿を感動的に描いています。

 朝鮮人学校閉鎖令は、冷戦が本格化した1948年1月、GHQの指令を受けて発令されました。これに対して、在日朝鮮の人たちは「『ウリハッキョ』(私たちの学校)を守れ」と反対運動を展開。兵庫県では多くの同胞が立ち上がり、4月24日、朝鮮総連と知事との交渉の末、学校閉鎖令を撤回させました。

 映画は、在日本朝鮮青年商工会(青商会)の地方組織・兵庫青商会が主管する「ウリ民族フォーラムin兵庫」(昨年9月)の企画として発案されました。

 4・24阪神教育闘争から70年を迎えたのを機に、後世に伝えるための短編映画として当日上映される予定でしたが、当時の経験者や学校関係者、研究者からの聞き取りを進め、長編映画製作へとふくらみました(企画当日は予告編を上映)。

 現在の朝鮮学校の様子や実情、4・24阪神教育闘争の証言や当時の実写映像、ヘイトスピーチなどいわれなき攻撃に耐えながら高校無償化をめざす高校生たちの運動、フォーラムの様子などで構成しています。

 映画監督の朴英二(パク・ヨンイ)氏と兵庫青商会の金功哲(キム・コンチョル)氏が共同で監督を務め、挿入歌は、京都朝鮮学校出身で、朝鮮大学校教育学部音楽科出身の金嬉仙(キム・フィソン)さんが歌っています。

 金功哲監督は、「日本と朝鮮との緊張関係の中で、戦後、朝鮮学校への弾圧は起こり、今も似た状況にある。過去や現実をふまえながらも、未来を見据え、未来に希望が持てるような作品にしたいと努めてきました。一人でも多くの人に朝鮮学校のことを知ってもらいたい」と語ります。

 15日(土)~21日(金)14時45分、22日(土)~28日(金)18時40分、京都シネマ(下京区四条烏丸下ル水銀屋町620 COCON烏丸3F)☎075・353・4723。1800円、65歳以上1100円、大学生以下・障がい者1000円(要証明)。