講演する小泉親司さん(6月29日、京丹後市)

 約束違反が繰り返される京丹後市の米軍レーダー基地をめぐり、問題の根本にある日米地位協定の実態を学ぼうと、米軍基地反対丹後連絡会は6月29日、日本共産党基地対策委員会責任者の小泉親司元参院議員を招いた学習講演会を開きました。

 主催者を代表し、「米軍基地建設を憂う会」の増田光夫代表は、全国知事会が同協定の抜本的見直しを提言(昨年7月)したことやトランプ米大統領が安保破棄に言及したという報道をあげ、「大きな変化の局面にある。基地反対の活動を強めていきたい」とあいさつしました。

 小泉氏は、日米地位協定について、「条文には日本の権利を書いた部分は一つもない。すべて米軍に特権を与えるものとなっている」と説明。特権的な同協定の実態について、米軍犯罪の起訴率(01~18年)は17・1%に留まっているとともに、沖縄では住宅上空でのオスプレイの無灯火訓練が繰り返されていることを示し、「米軍の犯罪は野放しで、無法がまかりとおっている」と厳しく指摘しました。

 同協定の大きな問題点の一つとして「米軍の行動が最優先される」ことを上げ、レーダー不停波や発電機稼働問題など同レーダー基地で繰り返される約束違反の原因であることを強調しました。一方で、全国知事会の提言について、「全国に基地被害が広がるなか、知事が対応に苦慮していることは間違いない。抜本的な改定への機運が盛り上がっている」と展望を語りました。

 その上で、参院選に向けた市民連合と野党の共通政策に同協定改定が盛り込まれていることを強調し、「京都では倉林明子参院議員の再選で、抜本的改定の力にしよう」と呼びかけました。

 米軍交通事故の報告をめぐる防衛省の方針変更などレーダー基地をめぐる状況について、「憂う会」の永井友昭事務局長が報告しました。

 質疑では、レーダー不停波問題で、停波マニュアルなどの情報開示を求める声に対し、防衛省が「米軍との信頼関係を損なう」と拒否することの理由を問う意見が出されました。これに対し、小泉氏は「防衛省はレーダー運用に関する情報を米軍から与えられておらず、そういう表現でごまかしていると見るべきだ」と指摘しました。