【今度は共産党@参院選】弱い立場の人を守る、米追随を厳しく批判する・・・共産党が、その実力に見合った議席を得るということは、日本の閉塞を打破する最大のポテンシャルだと思います/大阪電気通信大学教授(憲法学) 中里見博さん
首相の改憲“旗振り”は憲法違反
安倍首相は、今回の選挙は改憲に向けた最後のチャンスと思っていて、演説でも憲法9条への自衛隊の明記を公然と訴えるなど改憲を前面にすえています。これは自分たちが勝利すれば、憲法改正論議を急速に進める、という布石であり、非常に危険な状況です。改憲勢力に絶対3分の2の議席を与えてはいけません。
安倍首相は「憲法審査会」をめぐり、「野党が審議拒否をしている」「野党は職場放棄」などと演説していると知り唖然としました。
憲法99条で、天皇をはじめ国務大臣、国会議員などに憲法尊重・擁護義務を課しています。衆参国会議員に憲法改正の発議権がありますが、内閣にはない。内閣のトップの総理大臣が改憲論議に旗を降るのは明確な憲法違反で、三権分立の原則にも違反するものです。憲法について、最低限の理解すらない首相に改憲を口にする資格はありません。
また、野党は「審議拒否」をしていると言いますが、予算委員会や臨時国会を開かず、安倍一強というおごりの中で噴出した諸問題について、審議拒否をし、「職場放棄」してきたのは首相自らだったはずです。
国会の中で、憲法問題は審議されないどころか、活発に議論されました。日本共産党は憲法の全条項を守る立場・政策を明確にし、「自民党や首相の主張する9条への自衛隊明記の主張は、9条を空文化し、無制限な武力行使することが狙い」と批判していました。
首相は「自衛隊の名誉」「自治体に自衛官募集業務をさせため」などといいのがれをしていましたが、どれも破綻し、憲法審査会を開催する根拠すら崩れていました。
さらに、おごり、安保法制などで強引な手法をとってきた安倍政権下での改憲議論に国民の不安が広がり、野党は改憲をめぐる首相の乱暴な言動に抗議し開催に反対した結果、憲法審査会が開けなかったのが事実です。自分たちの失政、道理のなさを棚にあげ、ウソで固めた宣伝で野党を攻撃することは許されません。
安倍首相のもとでの改憲を阻止するためには、どうしても共産党に伸びて欲しいと思います。
共産党は、社会的弱者を守るというしっかりとした足場の上に憲法論を展開出来る政党です。消費税増税、年金問題など憲法25条が保障する生存権、社会福祉の危機に一歩もひかず、論戦が出来るのはそのためです。
9条をめぐる議論で平和主義について、日本政府のアメリカ追随の軍事政策、自衛隊の海外での活用、軍事装備増強に対してしっかりと批判できるのは、アメリカを中心した勢力、日米安保条約などについて長年にわたって分析し、綱領を練り上げ、政策提言し、論戦を積み上げてきた結果です。
ジェンダー平等の問題、つまり夫婦別姓、LGBTなどの問題についても共産党は敏感に反応しています。それらは、改憲をせずとも、現憲法の延長線上に位置づけ発展させられるとの憲法論の足場があるからです。
強い国民的基盤と歴史、政策力を持った共産党が、その実力に見合った議席を得るということは、日本のこの閉塞を打破する最大のポテンシャルだと思います。
私たち福島からの避難者としては、福島出身で、弱者に寄り添う政治姿勢の倉林さんの国会での活躍に非常に励まされています。心の支えとなっています。共産党の躍進、倉林さんの再選を切に願っています。