倉林議員の委員会質問全文を紹介したSNSへの投稿

 「参院厚生労働委員会でただ一人、ハラスメント禁止規定を求めて(政府の実効性のない)改正案に反対した議員がいる」──。ハラスメント防止をうたい、参院で5月に可決・成立した「女性活躍推進法」などの改定法をめぐって、こんな記述の投稿がSNS上で話題となっています。この「国会議員」とは、日本共産党の倉林明子参院議員(京都選挙区)のこと。投稿者は、5月23日参院厚生労働委員会の同氏の質問に着目し、その全文をSNSで紹介しました。

 注目を集める国会論戦。その中心は、セクハラ被害者に徹底して寄り添い、「ハラスメントは人権侵害」、「禁止する法改正こそ必要」というもので、実効ある法整備を求めました。その出発点は、昨年12月でした。

 安倍政権が今年4月、国会に提出した同法改定案は、事業主にハラスメント防止措置を義務付けるだけで、セクハラ被害者や労働組合などが求めてきたハラスメント禁止規定も、被害の認定などを行う独立した救済機関の設置も盛り込まれませんでした。

 倉林氏は、政府案提出に先立つ昨年12月には、同党国会議員団ハラスメント対策チームとして、▽暴力とハラスメントを禁止するILO条約(6月に採択)水準に見合う、ハラスメントの定義と禁止▽独立した救済機関の設置─などを盛り込むよう求める申し入れをしてきました。

 参院での改定案審議に当たっては、本会議や厚生労働委員会で、繰り返し改定案の問題点を追及しました。

「改正」に値せず共産党は修正案

 その白眉が、SNSで紹介された委員会質問です。同日行われた参考人質疑で、セクハラ訴訟に約30年間携わってきた角田由紀子弁護士が、裁判で損害賠償請求する困難さについて、「仕事を失い、長い間のおとしめを乗り越えて手にするのはわずかな賠償金だ」と語ったことを紹介。倉林氏は根本厚労相に対し何度も食い下がり、「裁判が救済に役立っていない現実を認めるべきだ」、「被害者が救われない最大の要因は、法律上、セクハラ禁止規定がないこと」、「女性の権利侵害について正面から受け止めるべきだ」と6回にわたり追及しました。同委員会で、禁止規定を求めて政府案に反対したのは、倉林氏だけでした。

 日本共産党は、改定案は「改正の名に値しない」として、禁止規定などを盛り込む修正案を提案。政府案には衆・参両院とも唯一法案に反対しました。

 前出の投稿者は、成立した改正法に、「関係者からは落胆の声が聞こえる」と述べた上で、倉林氏へのエールで締めくくりました。ハラスメント問題は、「今後の政治・社会にとって重要な課題」であり、「倉林議員に引き続き取り組んでもらいたい」

■正鵠を射る追及に脱帽/ 角田由紀子弁護士

 参院厚労委での参考人質疑で意見陳述をし、その際、初めて倉林議員を知りました。共産党の議員の方々はどの人も、よく勉強され、質問をされていると常日頃から感心していましたが、倉林さんの質問には本当に脱帽しました。

 問題のポイントは、ハラスメントを禁止する法律がないということです。30年間セクハラ訴訟に弁護士として関わってきましたが、裁判では不法行為の枠を超えられず、本当に被害者が求めているものが獲得できないということです。長く困難な裁判。その間にも加害者は被害者を非難、攻撃し、被害者は2次、3次の被害を受けなくてはなりません。屈辱感、心身へのダメージを何度も受け、やっと勝てたとしてもわずかな賠償金しか得られません。裁判では被害者は救済できないというのが、私の結論です。

 長年かかってたどりついた結論、その背景にある法の問題点を倉林さんはすぐに理解し、政府にズバリ切り込みました。こんなすばらしい議員はいないと思います。どうしても再選を果たしてほしいし、そのためなら支援を惜しまない気持ちでいっぱいです。