舞鶴市・パーム油発電 熱帯雨林伐採、人権侵害も 原産国・インドネシアの現状学ぶ/環境NGO「“悪い”バイオマスの典型」
舞鶴市で国内最大規模のパーム油発電所建設が計画されている問題をめぐり、同発電による自然生活環境への影響について考える学習会が開かれ、市民ら約70人が参加しました。熱帯林を守る活動に取り組む「ウータン・森と生活を考える会」などが主催しました。
パーム油が原料であるアブラヤシが栽培されている東南アジアの状況について、「地球・人間環境フォーラム」の飯沼佐代子さんが報告。主な生産国のインドネシアやマレーシアでは、栽培のための農園開発で大規模な熱帯林の伐採が行われており、インドネシアでは毎年50万ヘクタール(京都府の面積は約46万ヘクタール)の森が消失していることを紹介しました。
また、農園の水路整備による土地の乾燥化が、森林火災拡大の原因となっており、15年にはインドネシアで260万ヘクタールが消失する火災が起きたことを示しました。
他に、農園労働者の賃金未払いや達成不可能な作業ノルマの押し付けなど、「激しい人権侵害が頻発している」と告発。その上で、発電にはこうした問題のある燃料を大量に使用することになると問題提起しました。
「バイオマス産業社会ネットワーク」の泊みゆき理事長はパーム油発電の温室効果ガスを大量に排出する問題について解説。国は固定価格買取制度(FIT)で「再生可能エネルギー」と位置づけているものの、経産省の資料で栽培や輸送の過程などを考慮するとLNG発電を上回る温室効果ガスを排出することが示されていることを紹介し、「地球温暖化対策にもならない『悪い』バイオマスの典型」だと強調しました。
国内では2017年10月までパーム油発電の買い取り価格が世界的にみても高額だったため、大量の駆け込み申請が行われた経過があることを指摘。国がFITで認定した容量がすべて稼働すれば、国民が賦課金として負担する買い取り価格の総額は、約4兆円にものぼることを示しました。
福知山市で稼働中のパーム油発電所の騒音・悪臭による被害を受けている住民が報告。当初の説明通り、生活に影響がないよう事業者と同市に地域をあげて対策を求めていますが状況が改善されていないことを示し、「賦課金まで払って悪臭と騒音まで引き受けることのないよう、よく考えてもらえれば」と呼びかけました。
舞鶴市での建設計画の概要と経過について住民が報告しました。